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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -


天使長とイチャイチャ


「天使長ーくちあーけてー」
「…またですかコノハ様。」

天使長は迷惑そうな顔を隠しもしないが
言われた通りにあ、と口を開く。
少女は嬉しそうに微笑んで天使長の牙のような歯を撫でた。

「これがギャップ萌えってやつかなぁ。」
「違うと思いますよ。」

もういいだろうと天使長が口を閉じる。
少女の名残惜しそうな手にそっと唇を寄せてやると
途端に機嫌良さげに身を寄せてくる。

「天使長ギュッてして?」
「仕方の無いお人だ。」
「羽根も、」
「分かっておりますとも。」

ぎゅっと抱きしめ、羽根で包み込み頭を撫でてやると
少女は幸せそうな、気の抜けた声を零した。

「気持ちよすぎて寝ちゃいそう。」
「おや、お眠りになりますか。」
「まだヤダ…もうちょっとこうしてたい…」
「……コノハ様はどこまでも仕方の無いお人ですからね。」

そう言って天使長は少女を抱き上げてその背を撫でる。
少女の体温が心地よい。

「私も、少しばかり仮眠をしますので…どうぞゆっくりお休みください。
 …どうせまた夜更かしでもしたのでしょう?」
「名探偵天使長…」
「夜更かしなどしないように、といいましたのに。」
「ンー…きこえなぁい…」
「こら。」

少女は天使長から顔を逸らして
そのまま寝息をたて始めた。

寝たフリか本当に寝ているのか。
たとえどちらだとしても

「おやすみなさい、コノハ様。」

かける言葉は変わらない。



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