▼ ザバ主2
男の手が少女の両頬を包み込む。
「えへへ、あったかい。」
「申し訳ありませんコノハ様…待ち合わせに遅れたばかりに…。」
「んーん!忙しいのにごめんね、ザバーニーヤ。」
雪が降りそうな空の下、
外で男を待っていた少女の頬は赤く、冷たい。
いつもの制服ではなく可愛らしい服に身を包んだ少女と、
白い法衣ではなくシックな服に身を包んだ男は
そっと手を繋いで歩き出す。
最初はいつもと違う服で
それはそれはびっくりして
心臓が飛び出るかと思ったものだ。
それで固まった少女を
眉を下げて見る男が可愛くて、かっこよくて、
ドキドキと鼓動が早まった。
「ああ…此方も冷えきって…」
「…ふふっ」
「…?」
「実はね、手袋、わざとしてなかったの。」
「?それは、何故?」
「えへへ…あのね、こうしたら
ザバーニーヤがこうしてあっためてくれるかなって。」
「!…」
「…えへへ、ザバーニーヤ、顔真っ赤だ。」
「…さ、寒さの、せいにございましょう。」
2人とも頬を紅く染めながらゆっくりと歩いていく。
やがて白く雪がはらりと舞い降りてきた。
雪だ!とはしゃぐ少女に男は微笑む。
「ね、ザバーニーヤ。」
「はいなんでしょう。」
「雪が積もったら、またこうしてデートしてくれる? 」
「…はい。勿論。」
どこからが聞こえるラジオの音は
明日は雪が積もるであろうことを告げていた。
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