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ザバーニーヤのおんぶ


ザバーニーヤの背に羽根はない。
それは生まれついてのもの。
生まれついて与えられなかったもの。
けれどそれは悪いことではない
とザバーニーヤは思っている。

大きな背に身体を預け
少女はその体温にウトウトと船を漕いでいた。

「ザバーニーヤの背中、すきだよ。」

薄ら夢心地の緩やかな少女の声にザバーニーヤは微笑む。
少女はその背を優しく撫で頬ずりする。

「、ふふ…こそばゆいですコノハ様。」
「んへ…ざばにーや」
「はい。」
「すき」
「…存じておりますとも。」
「だいすき」
「…わ、わたし、も…お慕い、しております…。」

その言葉を言い終わるか否かで
少女の身体がずるりと落ちかけたので 慌てて体勢を整える。

背の少女は穏やかな寝息をたて夢の底へ。

ザバーニーヤは少女を部屋に連れていこうと
ゆっくりと歩いていった。
もうすこしだけ、こうしていたかったのだ。
眠る少女のその小さな重みを、その穏やかな呼吸を、
もうすこしだけ、感じていたかった。


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