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ザバ主2

夕焼けの空、
嗚呼彼女はもう帰ってしまうのか、と男は思う。
寮生である少女は門限がー!といいながら
傍を通り過ぎようとして、くるりと回って立ち止まる。

「ザバーニーヤさん、またね!」
「えぇ、コノハ様。」

微笑む少女に男もまた微笑む。
少しばかりの会話の合間、
風がふわりと少女の髪を靡かせる。
するとなにやら嗅ぎ慣れない、しかし好ましい香りがした。
つい、風と戯れる髪を一房、捕まえてしまった。

「…何やら、良い香りがしますね。」
「あ、あれかな。マリア達がね、なんだっけ、
 ヘアーオイル?っていうのつけてくれたの!」
「なるほど。」

少女は、あ、と頬を染めた。
その手の中の髪に顔を寄せた彼がまるで、
髪にキスをしたように見えて。

「良いと思います。とても。」
「そ、そっか!え、えへへ……あっ!!門限!!」

少し呆けた後に、少女はハッとして慌てて走っていった。
少しだけ振り返って手を振って。


そんな少女の後ろ姿を眺めて男は思う。

嗚呼、自分は平静を保てていただろうか。
彼女は、自分のこの感情髪に唇を落とす意味を知っているだろうか。







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