▼ メローネに縋られる話
父親が、『僕』の身体を撫で回す。
気持ち悪かった。
とてもとてもとても
嫌だった、不快だった、辛かった、苦痛だった。
早く、早く、それが終わって欲しかった。
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ!
はっと、目を覚ます。
酷く酷く嫌な夢だ。
息が苦しい。
「…メローネ、大丈夫…?」
傍にはシアが心配そうに俺を見ていた。
俺は、思わず思いっきりシアに抱きついた。
「シア、シア…」
我ながら酷く情けない声だと思う。
それでも、そうしないと辛くて、不安で、
どうしようもなく苦しかった。
縋るように抱きしめて、名前を呼ぶ。
シアは、何も言わずに俺を抱きしめ返して
とん、とん、と
優しく俺の背を叩く。
『シア』と名前を呼べば
『うん、』と優しい声がする。
しばらくして落ち着いた頃には
うっすらと眠気がやってきていた。
「…シア」
「なぁに?」
「ごめん、俺が寝るまででいいからさ、
その…手、握っててくれるかい?」
シアはいいよ、といって
俺の手を握ってくれた。
起きた時、まだ君がいたらいいな、
なんて思いたながら、俺はそっと目を閉じた。
マロウブルーティーの夢
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