▼ リゾットさんの髪を撫でるお話
アジトに帰ると珍しく
あの黒い頭巾を被っていないリゾットがいた。
ソファに座って新聞を読んでいるのか
後頭部しか見えないがサラリとした銀髪が
空調の風に僅かにそよいでいた。
「ん…おかえり、シア。」
「う、うん。ただいま。リゾットさん」
こちらに気づいたリゾットが振り向く。
なんで気づいたのだろう。後ろを向いていたのに。
などと思っていると、
ちょいちょい、と手招きされる。
おいで、と。
たたっと回り込んでリゾットの隣にポスリと座る。
風呂上がりなのだろう。
温かい体がそっとシアの身体を包み込むように抱きしめる。
「リゾットさん、お風呂入ったんですか?」
「あぁ、雨に降られてな…」
「あー…だからいつものやつがないんですね」
隙間から手を伸ばしてリゾットのその髪を撫でる。
サラリとして綺麗な髪だと思った。
暫く撫でていると
「…こんな男の髪、
触っていても楽しくないだろう?」
そういって困ったように笑っていた。
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