少女の朝は早い。
のそりとベッドから這い出て
ゴシゴシと目をこする。
窓からはうっすらと明るく鳴り出した空が見える。
今日は晴れそうだ。
少女はパジャマを脱いで
いつもの服装に着替える。
白の体操着。
姿見でブルマから
お気に入りの下着が見えていないことを確認して
鍋とおたまを持って廊下へと出る。
少女は軽く伸びをしたあと、
おたまで鍋を思いっきり叩く。
「あーさーだーよー!」
ガン!ガン!ガン!ガン!
その音と声で海兵たちが目を覚ます。
鍋を打ち鳴らし、声を出しながら廊下を歩く。
これが少女の日課だ。
少女は海兵ではなく、海軍が保護している孤児ではあるが
日がな一日何もさせないのも、
というわけで与えられた仕事でもある。
そして、毎朝強敵に挑むのだ。
大将の赤犬・サカズキは大概少女より早く起きているし
黄猿・ボルサリーノは起き出した海兵たちにつられて起きる。
「ボルおじちゃまおきた?」
「うん、おはようNotちゃん」
やはり起きていたと思いながら
少女は気合を入れる。
大変なのは青雉・クザンだ。
この男、本当に起きない。
最初のうちは少女も耳元で鍋を鳴らしたり
ベッドから落としてみたりと試行錯誤したものだが、
それでも起きないので
最近はもっぱらかなり荒い起こし方をしている。
「よーいしょー」
「ぐぇっ」
ぴょんっとジャンプして膝でクザンに着地する。
膝はいい具合に鳩尾に入るが
如何せん少女は軽くあまりダメージは入らない。
それでも痛い訳では無いの起きてくれる。
「飴ちゃん。もーちょっと優しく起こしてくんない?」
「だって起きないんだもん」
back