※政幸
※ほのぼの
「くりすます…?旦那、何ソレ?」
「南蛮の神様が生まれた日だ。祝いの為のぱーりぃを開く事になっているらしいぞ」
言いながら、幸村は何やらソワソワしていた。
12月24日―現代でクリスマスイブと呼ばれる日。
数日前に、南蛮好きの政宗がこの日の事を話して以来、幸村はずっとこの調子だった。
「んで、それが明日なのかい?」
「うむ。政宗殿に色々教わったから、皆に広めてみようと思う!!」
「ま、いいんじゃない?面白そうだし」
佐助も興味有り気に返答する。
「それとだな…」
そう言ってから、幸村は目を輝かせて続けた。
「くりすますの夜には、さんた殿が来るのだ!!」
「さ、さんた…!?」
「さんた殿は、よい子の元に贈り物をもって来るのだ!!俺は、さんた殿にお会いしたい…!!」
「へぇ、そう…」
佐助は、苦笑いを浮かべて答えた。
佐助は知っていた。
クリスマスというイベントの事は既に調査済みである。
その時に、サンタクロースとは迷信であると聞いているのだ。
だが、幸村は本気でサンタクロースを信じているようだ。
楽しそうに鼻歌まで歌っている始末だ。
あんなに楽しそうな主に本当の事など言えるはずがなかった。
「参ったねぇ、こりゃあ…」
佐助の呟きは、溜め息と共に灰色の空へと消えていった。
「どーすっかなぁ…。」
庭園の大木の上に寝そべりながら、佐助が呟く。
「ごまかそうにも、俺様何も用意してないからなぁ…。」
夜になって間もないというのに、主は足袋を枕元に下げ、自らの部屋で正座をしながらサンタクロースを待っている。
佐助は本日二度目の溜め息を吐いた。
その時突然、来訪者が現れた。
警戒しながら見ると、それは全身に赤を纏っていて、まるで…
「嘘…だろぉ!?」
「まだであろうか…?」
誰もが寝静まっている真夜中。
幸村は、起きていた。
未だにサンタクロースを待ち続けているのだ。
だが流石に眠いらしく、布団に入っていた。
本当に来るのだろうか。
実は迷信なのだろうか。
目を閉じながら、何度も何度も考えていた。
コトリ、
枕元で小さな音がした。
「さ、佐助ぇえぇえぇえっ!!!!」
朝早くから我が主の絶叫を聞かされ、溜め息をつきながら佐助が来た。
「ハイハイ、どーしたの旦那?」
「昨夜、さんた殿が来たのだ!!」
「…え゛、嘘、マジ!?」
「本当だ!!俺は寝てしまったが…その間にコレを枕元に置いていってくれた!!」
そう言って、幸村は小さな包みを取り出す。
中には餅が入っていた。
それは、幸村の恋人、政宗が得意とする、ずんだ餅だった。
食べてみると、その味は政宗の城で食べたのと全く同じだった。
幸村は、確信したように言った。
「さんた殿は、俺の欲しかった物…政宗殿の料理をくれたのだ!!」
喜ぶ主を横目に、佐助は更なる溜め息をつく。
(だって…届けたの本人だからね?)
だが、説明するのも面倒だ。
そう思って佐助は、しばらくこのまま喜ばせておこうと決めたのだった。
ちょうど同じ頃、奥州では、赤い服を傍らに置いたまま、説教をされている城主の姿が見られたとか…。
END
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
間に合った…!!
何とかクリスマス終わるまでにupできました!!
サンタさんを信じる純粋な幸村と、秘密裏にプレゼントを渡す計画を立てる政宗が書きたくて…!!
言うまでもなく、サンタさんは政宗です。
佐助も知ってます。
馬を飛ばして甲斐まで来ちゃいました。
結局保護者に怒られましたが。
しかし、別に政宗はコスプレ好きなんじゃなくて、幸村にバレないようになんですよ!!(←苦しい
長くなりましたが、ここまでお読み下さり、感謝致します!!
20120404修正
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