「じゃぁギャラハー行ってくるよ。」
「はい、優太郎様。」
某日、とても天気のいい日にルイーズの屋敷から出てきたのは
優太郎で、優太郎はショルダーバックを下げながら
屋敷を後にした。
今日は誰もいなく暇相手にとティグ・・・もあいにく主人とデート(笑)
だから今日はちょっぴり本の世界にでも浸かろうと考えていたのだった。



幻想ロマネスク








国立図書館があると聞いて優太郎は足を運ばせていた。
とても広くそして皆もの静かな時間を楽しむかのようだった。
優太郎は自分の学校の図書館には行くがこんなに静かじゃないし
広くもない。今は朝の10時すぎくらいで朝の日差しが目に染みる。
窓側の席に座る。窓はでかくて光がちょうど細長い机に浴びていて
小さなほこりが舞えば神秘な世界ができあがっていた。
「(さて、本は何にしよう。)」
ここがドイツというのは前に聞いていて最初はドイツの知識でも得ようかと
考えた優太郎はコーナー別に並んでいる棚に足を運ぶ・・・。
「・・・多いな・・・」
ドイツ関連書を捜してみて数十分後、優太郎は分厚い本から薄い本をぱらぱらと
めくってみるが結構な厚みだとどこが強く関連しているのかわからなく
逆に薄い本だとあんまり興味がそそられなく見る気もしなかった。

「・・・誰か専門分野の人はいないのかな。」
かりかりと頭を掻いて優太郎は受付の人の前まできた。
見た事のない優太郎の髪の毛などに少々驚いたのかそれとも
見惚れていたのか、わからないが受付嬢の女の子は顔を少し真っ赤にさせていた。
「どっどうしましたか?」
「沢山本があって、何を読もうかちょっと迷っているんだ・・・。」
「ぁ、でしたら司書をお呼び致しましょうか?」
「司書?」
司書の単語は知ってはいるが、
「呼んでくれるんですか?」
「はい。少々お待ちいただく形にはなりますが。」
「じゃぁ、お願いします。」
よかった、あんな本を全部読むなんて日が暮れてしまう
優太郎の安心しきった顔を見ると受付嬢はアナウンスをしてくれた。





待って数分。
優太郎が座っている場所に足音が近づいてきた。
見上げるとメガネをしてきりっとした表情を見せている男性で
優太郎の胸がどきりと驚きを表す。
ルイーズの時など同様綺麗なやつもいるものだな、と感心する。
・・・言うがそういうケは全然ないからな、誉めてるんだよ。


「すいません、遅くなりました。」
「いや全然、ありがとうございます。」
優太郎に謝罪する司書に優太郎もぺこりとお辞儀をした。
「それで、今日は何の本を?」
「あ、ドイツを詳しくかかれている本が借りたいんです。」
「ドイツ、ですか。」
司書と一緒にドイツの資料コーナーに行き優太郎の要望であるモノを
捜していた。流石ここドイツ、本国であるので沢山の資料があった。
棚4つくらいはドイツ関連の本がぎっしりと詰まっている。
中々難しい。
「ぁ、ドイツの歴史が詳しいヤツで・・・」
優太郎がそういうと検索していた司書がその要望を耳で聞き絞り込む。

「・・・たしか明日になればドイツの特集をやる雑誌が出るので申し訳ありませんが
明日来ていただけますか?」
司書は苦笑しつつ優太郎に顔を向けた。
優太郎も司書の言葉に「しょうがない。」と苦い笑みを浮かべる。
「取り置きしておきますので名前を宜しいでしょうか?」
「あっはい。赤坂優太郎です。」
「・・・わかりました。」
さらさらっと司書が胸ポケットに入れてあったメモ帳で優太郎の名前を書き
にこりと微笑むと優太郎に一冊の本を手に渡した。
タイトルがなく真っ白い表紙で分厚い本というのではない。
日本でいう単行本サイズの本である。
「よろしければどうぞ。」
「え、いいんですか?」
「えぇ、私が気に入っている本です。」
「オススメしてくれてありがと。早速家に帰ったら読んでみるよ。」
にっこりと笑う優太郎に少々嬉しかったのか司書の彼も笑った。








翌日、優太郎はもう一度国立図書館に立ち寄った。
司書が貸してくれた本は面白いあまり一気に読んでしまったので
それも返しに来たのだ。
「やぁ、遅くなったね。」
司書を呼んで貰うと希望通り、ドイツの雑誌を手に取った。
ドイツ語の癖にトリップなのかしっかりと日本語を読むように
わかる。
「ありがとう。」
「いや。またあれば呼んでくれ。」
「ぁ!」
スタスタと司書は次の本を探している人の場所へといってしまった。
しょうがない、優太郎はさっそく予約してくれた本に目を向けた。
そういえば、この世界は第二次世界大戦後と書かれていた・・・
日本がぼろ負けした時期であり日本人としての優太郎は複雑・・・。
「(・・・おっと、とりあえず記事記事っと・・・)」

優太郎の瞳が一層とその本に注ぎ込まれる。





「赤坂 優太郎か・・・」
一方、司書であるジョレス・バルスコワは熱心に読書をする
優太郎の瞳をちらりと向けた。
聞いた事のない名前に少々眉をひそめる。
昨日調査してみたらルイーズの屋敷に出入りしている事が分った。
ハルトヴィック家の親戚だろうかと考えてもみたがこういう名前の親戚は
ハルトヴィック家と何の関係もない・・・既にその優太郎という名前は
ドイツには存在しない名前だと、ジョレスは断言した。
「中々、綺麗な少年だな。」
最初見たときから、何か惹かれていて・・・口元が少し笑っていた。




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