「優太郎、キミのポケモン・・・・ラティオスは実に珍しい。
そして強い。・・・だがここはバトルサブウェイだ」
「はい」

熱が、一気に下がった。
言いたい事は、優太郎にはわかっていた。
きっと、ラティオスをこのバトルサブウェイでは使えないことを。
だけれども試験には合格できた。あとは制服を来て、《そこそこ》な
自分のポケモン達とチャレンジャーとの勝負を受ければいい。
決して蔑ろにしている訳ではない…。
自分の事を判ってくれているのはポケモンだけなのだから。


ただ、≪全力≫で戦えるポケモンは限られているということ。
そして自分にはその資格はないということが、わかったのだ。







回想終わり、場面は変わり洗面所。


「嘘だ、嘘だと言ってくれよ」
優太郎は洗面所に入って服を脱げばなんのその。
胸は膨らんでいるし、自分が男と証明できる「あれ」はないわ
身体はなんかなよなよしているわ…

一人身な彼にとって、大変よろしくない状況である。
ちなみにマッパである。
声も若干中世的な、しかし声は確実に丸みを帯びている
女性みたいな声であるし、顔も実際の優太郎の顔よりも幼い。

「(いや、夢だ!わたしが結婚相手がいないからという
夢なのかもしれない…)」
現実逃避をしようとしても、全身鏡をみて…どう自分を説得できるのだろうか。
「(どうしてくれよう…)」
トレーナーカードも前の自分の顔、性別のままであるし
かといって自分を育ててくれたオジ・オバにどういえばいいのだろうか。
頭が更に混乱して来た矢先の結果…

「というか、わたしは仕事もどうすれば…」
収入源がないことが一番不利な状況である。




気が付いていたら女になっていた。
それがどこまで通じる話なのだろう。
そんな事を考えながら鏡を見つめてもう何十時間経ったのだろう。


そんな事を考えていたら、朝が来てしまった。
マメパトの集団の音がはっと目を覚ましたのだった。





変わっている、確実に、自分だけが。









「はい、優太郎です。」
「優太郎ですか!!ノボリでございますが…」
「あ…」
なんと名前を聞いてあ、と声が止まってしまった。

ライブキャスターから連絡が鳴っている事に
気が付いた優太郎はとりあえず切り替えれば画面に写っているのは
自分の上司である:ノボリである。
少し声が驚いていたが優太郎は判らずとりあえずこの女は=男であった
優太郎だというのを素直に話している。
…夢でなければだ。

「ボス、わたしは一体どうすればいいのでしょう」
とりあえず、正体をばらしている彼に正直な話縋るしか
方法はない。(正直縋りたくなどないのだが)
白い車掌の方はノーサンキュー、きっと優太郎を変態扱いするからだ。
今となれば、年下なれど協力者を欲しいところである。


「貴方はわたくしの部下でございます、解決はご一緒になさいましょう」
「…」
いつもの仏頂面な顔で、だけれどもその声色は
心配していたのだ。
不覚にもこの年になって涙腺が緩んだ。
ふとそのときピンポーンと呼び鈴がなったことにきがつく…
この朝方な時間に一体誰がくるんだ、馬鹿じゃないのか。
朝食だって食べてないし、気分は最悪だ。
あまり人のことで怒ったことのない優太郎に自然に湧きあがる怒り。
早朝の新聞勧誘だったらぶっ叩いてやろうとしたときだ。


「その、心配で来てしまっているのですが…」
「…はい?」

…まさかの上司がおうちにやってきたのである。


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