1306号室に住んでいるYAGAMIさんお宅にお邪魔して食事を
誘って頂けた。というのが前なのだが、首からホイッスルを下げている少女が
みつきを部屋に誘った。
食事までヒカリと遊んであげてくれる?ヒカリと呼ばれる少女は嬉しそうな顔をして
みつきを誘ったのであった。
部屋は兄弟がいるのか2台ベッドで2つの机があった。
「ヒカリ・・・ちゃん。その、お部屋?」
「・・・」
「あ、あたしはみつき、」
無言になってしまった少女、ヒカリに自分の名前を言うとにこっと
さっき無言になってしまったヒカリに笑顔が顔からにじみ出た。
つい、みつきもつられて笑った。
「みつきちゃん。」
「うん?」
みつきはヒカリの側にいくと一枚の画用紙を出し、ヒカリの机からクレヨンを出した。
どうやら食事ができるまでお絵かきしようと言い出したのだ。






Story Without Title
7月31日の出来事・・・その3







お絵かきをしはじめて数分。
互いに見合いっこしあうようにみつきの目の先にはヒカリがいる。
同時にヒカリが描いているモノも見える、それはヒカリにとっても同じ条件なのだ。
みつきはお台場の風景、このマンションから出る時に見える観覧車も描いていた。
自慢じゃないが絵は中々好きみたいで本人も嬉しそうにクレヨンを手にする。
「みつきちゃん、観覧車描いてる。」
きれい、ヒカリがきらきらした瞳をしながらみつきの絵をみた。
青空をモチーフにした絵はどこか清々しい気持ちになるみたいな気分になる。
小学2年生のヒカリに言われてスナオに嬉しそうだった。
小学2年生と知ったのは彼女の机の上にある教科書から知った、たぶんみつきと
同じ学校「お台場小学校」であろう。

「ヒカリちゃんは何かいてるの?」
みつきはヒカリが描いている絵をみた。
・・・ピンク色のボールなのか、でもボールに目が2つ・・・
しかもくりくりとしていた。
「これ、コロモンって言うの。」
「・・・コロモン?」
自信満々に、そしてそのボールにちゃんとした名前が前からあったような
ほぼ即答という形だった。
「コロモンはデジモンなの。」
「デジモンの・・・コロモン。」
コロモンだけじゃなく、他に少年少女がかかれていた。
茶色い髪の毛でショートカットでにこっと笑っている絵は
「この子って・・・ヒカリちゃん?」
「うん、・・・で、その隣はおにいちゃん。」

きちんと説明してくれた、ヒカリちゃんには兄がいるらしい、
絵から見ると元気満々なのか額にゴーグル・立っている髪の毛・・・
これは彼女の「おにいちゃん」なのだ。





「ヒカリー!お姉ちゃん連れてきてー!」
扉越しから聞こえるYAGAMIさんのお母さんの声が聞こえ
一旦お絵かき大会は中断となり、ヒカリちゃんの手を握り締め部屋を消し
ダイニングルームへと足を運んだ。





「おっ、おいしいです!!!」
「ほんと?よかったわ、お父さんもまだ帰ってこないし太一はサッカー友達と食事だし・・・
ヒカリと2人だけでちょっと寂しかったの。」
向かい側に座っているヒカリちゃんのお母さんは優しい笑顔で微笑んでくれた。
隣でヒカリちゃんも食べている。今日の夕食はどうやら生姜焼きで
キャベツもふんだんにいれていた。
それとご飯と味噌汁、一般家庭の料理だがみつきから見ればご馳走であった。
(結構両親が海外にいくので料理とかはコンビニ弁当で済ます)
↑量が多くなるから。
「ヒカリちゃんのお兄ちゃんってサッカーしてるんですか?」
ふとヒカリの母からの言葉に一瞬手が止まった 三月は自然にその言葉を
聞き返してしまった。


「えぇ。一応太一は小学5年生でサッカークラブに所属してるの。」
「(あ、あたしと同い年でしかもサッカークラブ!)」
今日ちょうど「お台場小学校」でサッカークラブの入部体験(?)に参加した
みつきはきっとその場所でヒカリの兄さんにあったのかもしれない、と思っていると
「ご飯、お代わりする?」
そっと、ヒカリのお母さんの手が目の前に出されていた。
みつきが手に乗っている茶碗にはご飯はもう入っていなくちょっとした間を置いて
「・・・いただいてもいいですか?」
赤面しながらもご飯をいただいた。
ヒカリちゃんのお母さんは笑って茶碗にご飯を入れてくれた――――――






「ぇ?」
ご飯もいただき、ヒカリちゃんと談話しもう午後の8時を回る頃、
みつきもそろそろおいとましようとし、玄関で靴を履いていたみつきに
ヒカリの母とヒカリが立っていた。
ヒカリの母が持っているのはタッパー。
「少ないんだけど明日の朝にでも食べてみて?生姜焼きとポテトサラダのあまりなんだけど。」
「・・・でも。」
断ろうとした時に、みつきの肩にヒカリの母の手が置かれた、暖かい・・・
みつきよりも大きくてやさしい手。
「子供なんだから、遠慮しないで。」
引っ越してきたばっかりだというのに、こんなに優しくされている。
その不思議な安心感は一体何なのだろう、わからない。
他人なのに・・・この人は・・・。

「・・・ありがとうございます。本当に、食事から・・・」
「いいのよ!ホントに。」
「・・・・みつきちゃん、またお絵かきしようね。」
ヒカリの言葉に笑顔で受け止めるみつき、タッパーにつめられた食材がまだ手の中で暖かかった。
「じゃぁ、お邪魔しました。」





「なんか、いい人だな・・・ヒカリちゃんも・・・そのお母さんも。」
顔が真っ赤になる、良い人達すぎて・・・みつきは自分の部屋に帰ろうと歩を進め登り階段を
さしかかった時、たんたんっと誰かの足音が聞こえた。
みつきは全然気にしていなく自分の家の鍵を鍵穴に入れる時
「ただいま〜!」
隣の扉が閉まる音がした・・・・。
「・・・?」
みつきはYAGAMIさんのお宅を見るがその少年の姿を見られなかった。
もう入ってしまったのか、たぶんヒカリちゃんのお父さんかな、と
勝手な解釈をしてみつきは自分の家へと足を踏み込んだ。
それが、後のデジタルワールドで仲間となる少年:八神太一だとは知らずに――――。
自分と交友を深め・同時に傷つき・強い絆を築いていく仲間だとはまったくその頃は
考えもつかなかったのである。






「ヒカリ!明日のサマーキャンプのお菓子買って来ようぜ!!」
「・・・うん!!」
太一は部屋に入ると同時にその言葉を発した。
ヒカリも楽しみにしている・・・ヒカリは8月1日のサマーキャンプの参加者である。
太一は母から1000円札を手にしていてわくわくとした表情をみせているが
ヒカリの様子が少しおかしかった。
「・・・大丈夫か?ヒカリ」
「うん。」
にこっと兄である太一に笑みを見せるとふと太一がヒカリの机をみて?マークだった。
「なぁ、誰か友達来たのか?」

太一はヒカリの机から2枚のお絵かきが見つかった・・・一つはヒカリの絵・・・
後の一枚・・・母ではないとは想定はしていた。
「みつきちゃんの絵なの。」
「・・・みつきちゃん?お前にそんな友達いたか?」
ヒカリの友達の名前くらい、少しは覚えていた・・・特に家に遊びに来る友達
というのは大抵決っているからである。
太一の頭の中には過去にヒカリが「みつきちゃん」という名前を聞いた覚えがないのだ。
「うん、新しいお友達。」
「ふーん、まっいいや。母さん!ヒカリと一緒に買い物に行って来る!!」
「ちょっ太一!!!」
八神家はとても騒がしく陽気だった。







同時刻、みつきの家ではみつきが嬉しそうにバッグに明日のサマーキャンプの
荷物作りをしていた。といっても気合はあっても服に気合を入れないみつき。
ズボンをベースに上に羽織るものと黒いTシャツ。
それと・・・みつきがいつも大事にしているロケットペンダント。
それは母がくれたモノであるがそのロケットペンダントの
ロケット部分はこびれついていてあける事が出来ないが母が言うには
「いつか時間がたてば開くんじゃないかしら?」と優しげに言っていたのを
覚えている。
無理矢理に開けてもダメとわかっているみつきはムリには開け様とはしなかった。
両親と離れているときはなぜかこれを付けていないとみつきは落ち着かないようだ。
「よしっ!ファックスの通り、明日の7時くらいに集合ね!」
時間確認し、みつきは寝ようとしたときだった。
隣のYAGAMIさんから貰った
生姜焼きとポテトサラダが入っているタッパー、みつきはそれを台所のテーブルに
置いておいた。明日ちゃんと食べさせて頂きますとココロで思いながら――――。









むかし、あるところに少年と少女がおりました。
少女と少年は目を覚ますと自分たちがいた世界と違う世界に迷ってしまったのです。
そこで同じ世界から来た子供たちと一緒に少年と少女は不思議な生物と出会いました・・・
不思議な生物と少年と少女、同じ世界の子供たちと力を合わせのちの暗黒の力と立ち向かったのです。
少女と少年・同じ世界の子供たちはその暗黒の力をその世界から消し
≪役目≫を終えた≪子供たち≫と共に元の世界に帰れました・・・。
少年と少女≪子供たち≫は約束したのです。
次の暗黒の力が増大した時に・・・≪選ばれし子供たち≫を違う世界から呼び出さなければとと・・・。






更けていく時間、そしてついに7月31日は終わり8月1日という
日にちを迎えた。
その頃の 三月はゆっくりとサマーキャンプのことだけを思いつつ
ベッドに体を預けていた。







Suzuno Asaka
Dream Novel 2006,1205


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