アクアリウムの中は非常に退屈だ。

非常に退屈すぎて寝床である貝殻をあけ
いつもと同じ風景に小さなため息をこぼした。
このアクアリウムに住み着いてから約1ヶ月にもなると思う。


そう、気が付いたらここにいた。



アクアリウムの中ではキラキラと輝く太陽はなく
アクアリウムを綺麗に見せる蛍光灯の光。
蛍光灯というのを教えてくれたのは最初の住人でもある金魚からだ。
この光は上を見上げるとコウゴウと光っている。

金魚は、友達というよりもこのアクアリウムの先の住人だ。
・・・失礼した。赤いかわいい金魚である。

金魚の君に声をかけると高い声で「今日も相変わらずね」と答える。
その答えは日課な回答であり
私は「そうね」と回答した。
回答をいうと金魚はぷくぷくと頬を膨れさせまたか、と肩を落とす。
「また君はどうしたの?」
「外の世界が気になるの」
「君はここの住人なのに?」
「・・・本当に私はここの住人なのかしら・・・」


この会話も自分がこのアクアリウムになれてから
すでに10回以上はつぶやいている。
そしてそれを行った瞬間バンッと
アクアリウム外から大きな音がした。扉が開いたようだ。
その音の場所をみてみると目の前にみえるターコイズブルーの髪の毛にに
きりっとした目の男がこちらをみていた。

男はアクアリウムの中を確認するとにこりと笑って
片手にもっていた小さなジャムを入れる容器を持っている。
「おはようございます。今日もよく眠れましたか?」
「眠れません」
「おや、それはいけませんね。
とりあえずご飯をもってきましたがいかがですか?」
アクアリウムの出口にみつきはなれた魚のヒレを使い
上へとあがると彼の手に乗り彼は持っていたジャムの容器に入れられる。


そして片手でスプーンを彼女の口に近づけた。
固形ではなく半熟な液体をぴちゃぴちゃとなめながら
今日の体の栄養分を体にしみこませる。
液体の味が何かと答えればあまりわからない。


しかし舐めると甘いが舌がぴりりとスパーリングするような感じがする。
弾けるような印象に残る・・・なかなかに中毒性がある。
「おいしいですか?」
「・・・まずくはないです」

彼の笑顔をみるとなんとなくだが恥ずかしい感じがする。
それが恋なのかわからないがみつきはそんなことを頭から離れさせ
食べ終わると彼はスプーンを置き、慣れた手つきで指でみつきのおなか周りをさわる。
優しく押してくれるが彼の手はとても冷たい
たまにくすぐったく変な声がでてしまうがそんな姿にターコイズの君は笑うだけ。


銀のスプーンを握っていたからなのだろうか
彼は満足するとまた水槽へと戻すように手にのっかった。









「ねえ知ってるか?オンボロ寮の監督生が行方不明なんだって」
最近この噂が本当だと言うことに何人気がついているのだろう。
ジェイドはいつも歯を出して笑わないが
摩訶不思議なこの状況下はさすがに笑ってしまいそうになる。

くすりと笑わないようにしていると
隣にいるメガネの男はジェイドのその顔をみて彼よりも
深くメガネの奥ではほくそ笑んでいる。
「顔にでていますよジェイド」
「これは失礼。いえ・・・あの噂はいつまで続くのかと思いまして」


オンボロ寮の監督生行方不明事件。
事件とむしろ呼んだ方がしっくりくるのかもしれない。
外泊した可能性がかなり低い魔法が使えない人間が学園から消えてしまった。
オンボロ寮ののろいかとも思われ
はたまた何かに魅せられて消えてしまったのではないか・・・
学園の七不思議にでもあったのか
など7つの寮それぞれ憶測が飛び回る。


「みつきさん・・・いったいどこに行ったんですかね」
美味しい茶葉を用意したのに。
白々しく少し眉をハの字にしながら考えるポーズをしたジェイドがいう。
「紅茶なら、いつでも飲ませることができるじゃないですか」
みつきさんが逃げなければ。

ハットを深く被りながらも深い笑みをアズールもこぼす。

今日も変わりのない日常を始めよう。
ほしいものは既に手中の中に。


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