浜野



「杏里ー今から釣り行かね?」

『ああうん、いいよ』

今私の家に来たのは幼馴染みの浜野だ。正しく言えば、釣りに誘いに、私の家に来たのだが。まったくこいつは突然すぎる

『じゃあちょっと待ってて。準備してくるから』

「りょーかいっ」

私は釣り好きの浜野に付き合って小さい頃からよく釣りに行っていた。おおらかでポジティブな性格の浜野に憧れて気がついたら恋心を抱いていた。だが、これといいサッカーといい浜野には熱中していることがある。それにこういうことに関しては鈍いからきっと私の抱いている感情にも気づいていないだろう。今から行く釣りだって、二人きり…なんてことにはならないんだろうな

そうこうと考えながらできるだけ素早く支度を済ませ、玄関の扉を開ける

『お待たせ、』

「あっ杏里。速水も誘っちった」

「ど、どうも」

ほらね、


(届かない)



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