身体のあちこちが痛む。 今日もアザができただろう。 毎回毎回、死を覚悟するほどの暴力。 左目は眼帯で覆われ、身体のところどころが包帯で傷を隠している。 今家康がとりつかれてるのは愛なんて綺麗なものじゃない。 何度逃げ出したり、助けを求めただろうか。 彼を見捨てるようなことをすると、一段と酷い怪我をしてしまう。 だから三成はもう何も抵抗しなくなった。 それが今までで、一番暴力を振るわれないで済んでいる。 彼が機嫌がいいときは三成も好きだ。 優しくて、かっこよくて、大切にしてくれる。 怯えず済むのだ。 慣れてしまった傷の手当てをひとりで終わらせ、散らかった部屋の掃除をしはじめる。 いつからだっただろうか。家康が殴ってきたのは。 正直のところ、三成は家康を怖がっている。 隙を見ては、いつか逃げようと思っている。 何のために殴るのだろうか。 家康はこう言うだろう。 愛してるからだ、三成…と、どんよりはっきりしない瞳に三成を映し腹を殴るのだろう。 もう嫌だった。怖いのだ。生きた心地がしない。 元親に連絡しよう。助けてくれと連絡しよう。 元就にも、幸村にも、政宗にも、全員に一斉に送信しよう。 それから街に逃げ出して、かくまってもらおう。 家康はどこかに出かけている。今しかない。 メールを一斉送信した後、心拍数が一気にあがった。もう後戻りはできないのだ。 はやくこの家から飛び出そう。痛む体を引きずって起き上がって靴を履いた。 扉を手にかけて、家から飛び出してその辺の裏路地に居ればもう大丈夫だろう。 はやく、はやく扉を開けなくては。帰ってくる前に…。 扉はなんて重いんだろう。ただ体重をかけて押すだけだというのに。 鍵もかかっていない。扉もしっかり押している。 まさか、そこまで筋力が落ちたわけじゃないだろう。では何故? 嫌な考えが三成の頭によぎった。 扉の向こうに誰か居るのではないか。メールを送った彼らにしては早すぎる。 そんなわけがない。運良く近くを歩いているわけではないだろう。 ああ、それじゃあ……。そんな不運があるのか…。 扉から離れて玄関に足がもつれしりもちをつく。 痛みなんか感じていなかった、感じるのはただただ底知れない、恐怖のみ。 扉が不気味な音を立ててゆっくりと開いていく。 やめてくれ。私の目に映るのは、ヤツじゃないでほしい。 夏の暑い風が、扉からヤツと一緒に入ってくる。 三成は思わずケータイを握った。早く誰か助けに来てくれ。と瞳に橙の瞳を映しながら。 部屋の隅に逃げても、彼は無言でジリジリと三成を追い詰める。 どこからどう見ても機嫌が悪そうだった。それも、最高に。 ケータイを持つ右手を蹴られ、驚きと痛みでケータイを落としてしまった。 壊れてはいなそうだったが、そのケータイを彼が…家康が遠くへとやってしまい三成の手には届かない。 取りに行こうとしたところ家康の暴力を受けることになるだろう。 そういえど、もう暴力を振られるのは分かりきったことだった。 どうしてこんなに機嫌が悪いのか、なんて考えたくもなかった。今は自分の置かれてる状態すら、理解したくなかった。 「…三成…お前、どこ行こうとした…?ワシを裏切るのか…?」 「ッ…う…ッ!!ガハ…ッ」 蹴り倒されたところであの腕で立たされ、拳で肩の辺りを殴られる。 壁に背をぶつけ、息ができないところを家康の唇に覆われまるで息をすることすらも許されないようだった。 このまま窒息死するんじゃないかとも三成は思う。 ああ、遠くでケータイが鳴っている。 マナーモードのままだから、バイブレーションで少しずつケータイが動いている。 まるで、この部屋で怯え逃げ回る自分のようだと三成は服を脱がしていく彼を身体を強張らせつつ受け入れた。 あのケータイの用件は何だろう。誰だろう。 できれば返信できないことを不審に思って、誰か駆けつけてくれないだろうか。 ああ、だけど。 こうして家康に何もされないで抱きしめられるのも、悪くはないかもしれない。 ぼくらは救われない 救われることを望んでないのかもしれない。 ------------- よくわからないDV ▲▽絵茶で出た話題なのですが 私じゃあ上手くかけませんでした/(^o^)\ もっと暴力シーンをやるべきだとは思ったのですが 深夜テンションだったのでうちの権現は殴るよりヤるほう優先したようです 怒ってる理由は誰かのケータイを家康が拝借してるから。 それか、名前は違うのにメルアドは家康とか。そんな感じだといいかな。 かけなかった。申し訳ない。ここで言うとか…orz 三成もだいぶ依存してればいいと思います。 殴られてもやっぱり…みたいな。 最後までお読みくださりありがとうございました! |