小話 三×♀家注意 会話文と家康ちゃんの軽い心情だけで。 好いている。と三成に言われた。それは確かに嬉しかった。 ワシも三成が好きだった。本当なら頷いているはずだったけれど、決意をしていたから首を横に振らざるを得なかった。 そうしないと、三成は傷ついてしまうから。いや、どちらにしても傷ついてしまうけれど。 「何故だ家康」 「…すまん。もう、好きだと言わないでくれ」 そうか、とすぐに感情を切り替えてしまうような三成はさすがだと思った。 ワシなら落ち込む。だけど三成はいつもと同じだった。 決意というのは、この拳で天下を取るということ。ただそれだけ。 秀吉公を討ち、泰平の世を作り上げる。ただこれだけ。 「家康、私には可能性はあるか?」 「…可能性?」 「お前が、私を好いてくれる可能性だ」 泣きたくなった。本当なら今すぐにでも抱きついてしまいたかった。 その美しい姿や、切れ長で鋭くとも優しさを含むその瞳や、陽に当たるときらりと光るその銀髪が本当に好きだった。 本当に、好きだった。否、好きなんだ。 「…ない、かな。」 「……そうか。心に決めた人間でも居るのか知らんが、私は諦めが悪い」 「…三成らしくないじゃないか」 「貴様だからかもしれん」 諦めてくれ、諦めてくれ三成。ワシも、そうすれば諦めれるから。 ワシはお前を愛せないから、愛しては成し遂げられないから。 ああなんてつらいんだろう。こんなことなら、お前に会わなければよかった。 だから、一言で終わらせたいんだ。 「諦めてくれ、三成」 *** 「家康…家康ウゥウゥッ!!」 だから、言ったじゃないか。諦めてくれと。もう好きと言わないでくれと。 その分情が増し、憎しみも増すと知っていた。だから諦めて欲しかったんだ。 「許さないッ許さないッ!!」 もうお前のあの優しい目は見れないんだろうな。もうあの安らぎは感じれないんだろうな。 もうお前の隣に居た頃の安堵は、ないのだろうな。 「お別れだ三成…!石田三成!!」 「死ね家康…!!現実の仇!!」 出来ることなら、一度でいいからお前の腕に抱かれたかったよ。 一度でいいから、好きだと言いたかったよ。 一度でいいから、口吸いだってしたかったよ。 一度でいいから、三成と笑いあいたかったよ。 「…ッ、……ぅ…っ、…ぅぅ…っ!!」 地に伏せる美しい愛しい人。 出来ることなら、平和な世を一緒に作りたかった。 「三成…っ、……ぅあぁあぁあっ!!」 好きだった、好きだった、お前がずっとずっと。 最後の最期までずっと、ずっと。 ずっと、ずっと。 恋知らずで居たかった だから、諦めたかったんだ。 情があれば、その分悲しみが増すと知っていたから――。 -------- 三♀家ブームです。 傘下時代の三成のお前呼びに、何かを感じます。 それはそれは…恋をしているような気持ちが。 2011/12/12 00:47 |