「眠い」


そう言ってベッドに腰を落とした人は私の旦那さん。


「もう、琥太郎さんたら」
「仕方ないだろ、仕事が長引いたんだから」


仕事が長引かなくなっていつも眠い眠い言ってるくせに。でもちゃんと私に構ってくれる。


「琥太郎さんは優しいですね」
「意味が分からん」


つれない態度ももう慣れっこ。どれだけの時間をこの人と共有してきたんだろう。


「ベランダに出ませんか?今夜は星が綺麗なんですよ」
「あぁ」


二人並んで空を見上げていると私が高校生だった頃を思い出す。私たちが付き合う前、付き合い始めた頃。私の思い出にはいつも琥太郎さんがいて。


これからもこのまま、いつまでも。時間を一緒に歩いていきましょうね、琥太郎さん。
そう言うと琥太郎さんは「当たり前だろ」と笑った。


「ふふっ。私、幸せです」
「そうか。俺もだ」



(綺羅星が照らす、二人のキス)
誰も見てないって…星が見てるじゃない




fin

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