僕は君がいればいい。
他にも何もいらないんだ。
ねぇ、ねぇ、君は?
「月子ちゃんは可愛いね」
「からかわないでください」
「つれないなぁ、」
君は僕のこと、嫌いなのかな?
「嫌いです」
じゃあなんで構ってくれるの?
「そんなこと、分かりません」
ふーん、変なの。
僕が君のこと好きって言ったらどうする?ドキドキしちゃう?
「からかわないでって言ってるじゃないですか」
「あ、ふられちゃったね」
「もう、水嶋先生っ!」
「ごめん、ごめん」
胸が痛い。チクチクする。「ごめん」とか思ってもいないのに口にしたから?
それともふられちゃったからかな?
「水嶋先生、」
「何かな」
「質問していいですか?」
「どうぞ」
「どこまで本気なんですか?」
「おかしなことを言うね、君も。僕はいつも本気だけど?」
なんでそんなこと聞くの?
ていうか意味深だよね、それ。
本気じゃなかったら良かった?
あれ、おかしいな。また胸がチクチクする。
「相談も…いいですか?」
「ワガママ」
「ダメですか?」
「いいに決まってるでしょ。何?」
「私、いつの間にか水嶋先生を目で追っているみたいなんです」
どうしたらいいですか、と真面目に聞かれたけどこのとき完全に僕の思考は止まっていた。このとき僕は恥ずかしいくらいキョトンとしていたと思う。
「…………ぷっ」
「笑うなんてひどいです!」
それってさ、
「告白って言うんだよ?」
深刻そうな顔だったから何を相談されるのかと思ったら、告白だったなんて。
そこまで天然だと罪、だよね。
「くくくっ……ダメだ…笑いが…とまらない……あははは!」
今まで君を好きだって感情を抑えていたものがなくなってしまって僕は涙が出るほど笑ってしまった。どうしよう、こんなに嬉しいことなんてない。目を閉じても君の顔しか見えないんだ。もう僕は手に負えないんだろうな。愛してるなんて安っぽくて嫌いだけど、勝手に口から出てきてしまうんだ。
僕に君の気持ちを教えて。
分かってるけど、実感させてほしいんだよ。
お願い、
君の言葉が欲しい。
ねぇ、言って?
「水嶋先生がいれば他には何もいらないです」
(ありがとう、その言葉を待っていた)
fin