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  美味しいクリスマス


(狼特製クリスマスディナー)



結局クリスマスイブになってもけーちゃんもエージェントも蔵ノ助も仕事が忙しくって、
職業ミュージシャンな奴らは当然ライブだイベントだで忙しくって、六んとこは仏教徒には関係ねえって追い出されて、
街には音楽も笑顔も溢れてるのにどういうことなのこの仕打ち!俺様神様なんだぜ!?


「フーン、それでスネてたワケ?」
「スネてねーし、当然の主張だし」


隣を歩く口だけお化け、もといスマイルは心底俺の不幸を楽しんでいるオーラを惜しげもなく撒き散らしながらいつものようにヒヒヒッと笑う。

浮かれに浮かれたイブの街で偶然会ったスマイルは、他の二人へのプレゼントを引き取りに来たのだという。
俺と会った時には既に繊細なラッピングを施された深紅のボックスを抱えており、丁度いいから付き合ってヨ、と言われて暇だった俺がついて行った先はデパートの調理器具コーナーだった。
ずっと前から予約してたんだよネ、と高級鍋を受け取って笑うスマイルは、端から見ても今日と言う日を満喫している。

いや、俺だって満喫したければどこのホールでもクラブでも、それこそ街角でだって今日を祝う音楽を楽しめるんだけど。
でも、やっぱりなんか、くやしい。

そんな俺にスマイルはもう一度笑って、姿を戻すと自分のポケットを顎で示して。


「そんなサミシーカミサマに、クリスマスプレゼントだヨ」


言い方にイラっとしつつ、示されたポケットを遠慮なく探ると出てきたのは可愛いサンタのクリスマスカード。


「ま、イラナイって言うならキミの分のブッシュ・ド・ノエルはボクが食べちゃうからイイけどネ!」


言われてやっと、それが三人からのパーティへの招待状だと気付いた俺は、笑いながらメルヘン王国へと続く扉に消えたスマイルを慌てて追いかけたのだった。





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(ジンジャーマンとキャンディーケイン)



「どうしたの、これ」


目をこれでもかとまんまるにして、ネスはアイクとアイクから渡された袋とを交互に見ていた。
赤と緑のカラフルなリボンで留められた袋、中には人形型のクッキーや杖の様なキャンディーが入っているようで、見るからに子供の好きそうなそれはアイクが先程子供たち全員に配ったものだ。
他の子供たちは普通に喜んで袋を貰い、トゥーンに至っては既にクッキーを食べ始めている。が、ネスはそれよりも気になることがあるようで。

そんなネスにアイクは目を細める。


「お前たちの世界では、今日はサンタクロースとやらがプレゼントをくれる日なんだろう?」


いい子にしてたらサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるよ、なんて、ネスが自国の風習を子供たちに広めたのはついこの間のこと。
義理堅く、実は子供好きなアイクはそのことを覚えていて、この間街に出かけたときにお菓子の詰め合わせを手に入れていたのだ。
まあ、あの内容を奨めたのは僕なんだけど。


「今日の為の菓子だとマルスに聞いたが、ネスの世界のものじゃないのか?」


首でも傾げそうなアイクに、スネークには催促しておいてアイクから貰えるのは予想外だったか、ネスは耳を赤くして髪をぐしゃぐしゃにしてから、ううん、と答える。


「僕の世界のだよ。だからちょっとびっくりしちゃっただけ。ありがと、アイク」
「そうか。ならよかった」


二人の会話を聞いて口々にもう一度お礼を言う子供たち。少しだけ頬を緩めて頭を撫でてやってるアイクは、サンタクロースが来ないことが心配だったのだろうけど。
もちろん大人たちからも、アイク宛ても含めてしっかりプレゼントは用意されているので明日の朝驚いて貰おう。





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