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  アイクとトワ


マルスが風邪を引いた。



「あんだけ寒い寒いって言いまくってたロイは平気なのにな」
「寒いところに行かないから、平気なんじゃないのか」


マルスは元々あまり体が強くないらしい。言われてみれば季節の変わり目は体調が悪そうだったし、暑いのが苦手と言うこともあって、夏などは始終青い顔をしていたように思う。
だが逆に寒さには強いとのことで、冬になってからは体調を崩すこともなく、むしろ他の者たちより薄着なくらいだったのだが、比較的暖かい日が続いたせいか急に冷え込んだ昨日、風邪でダウンしてしまった。

医者の資格を持つマリオが言うには、熱は多少あるが酷い風邪ではないとのこと。
また、マスターの持つ薬はカガクの発達していない世界の出身であるマルスにはあまり使わない方が良いそうで、屋敷の先に広がる森から薬草を取ってくることになった。
採取に赴くのは俺とトワだ。同じくカガクの発達しなかった世界を母国に持つロイは、看病を手伝うことで辞退した。連日ふたまわりも太くなるほど着込んでいる程の寒がりだから当然か。

目的の薬草を探しつつ、俺たちは早足で森を進む。獣も分け入らない草地に乗せられた霜が、ブーツの下でさくり、と鳴った。


「俺んとこは冬厳しくないから、薬草とかいつでも採れるけど…ここはどうなんだろうな」


木の枝を掻き分けながらトワが溜息を吐く。下草は枯れきっていないものの、木の葉はほとんど落ちて緑は少ない。


「クリミアは雪も降るが、風邪に効く薬草は冬でも採れたな」
「そうなの?」
「ああ。育てていたからかも知れないが…」


育てていた奴が一番に風邪を引くものだから、俺も傭兵団の奴らも皆薬草を覚えてしまった。
俺がそう言うとトワは、そりゃあ心強いな、と笑う。

暫く互いの世界の、他愛もない話をしながら進んでいると、ふとトワが足を止めた。声を掛けようとした俺を制し、弓で何やら狙いを付ける。
ひゅっ、と小さく風を切って矢が向かった先は大きな蜂の巣。ぼたりと落ちた巣から飛び立つ蜂を剣で追い払い、巣を袋に詰めてからトワは頬を掻いた。


「獲ったはいいけど、マルス食べると思う?」


袋を軽く掲げたトワは、恐らくはちのこの事を言っているのだろう。蜂の幼虫が栄養満点なのは俺も知っている。風邪にいいかもしれない。だが、マルスに食べさせるとなると、


「…食べないだろうな」
「やっぱり?」


しかし獲ったものを捨てていくわけにもいかない。とりあえず蜂の巣も持って、俺たちはマスターに教えられた薬草の群生地へと急ぐことにした。





無事薬草を採取し、屋敷に戻って薬にしてもらう。マルスは起き上れるくらいには熱が下がったらしい。これで薬が効けば、明日には良くなるだろうとのことだ。
尚、案の定、はちのこは拒否された。


「美味いんだけどなぁ」
「ああ」
「…それは僕も遠慮したいかなぁ」


屋敷の大半からも遠慮され、結局俺とトワとで片付けることになった。味は食えないことは無いだろうから次倒れたときはやはり食べさせよう。





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マルスとロイははちのこ食べれないだろうな。ピットも逃げそう。リンクは多分全員食べれる。
酒飲みのおっさんあたりなら食べるかも?



 

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