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  子リンと朝の人々


朝のひんやりした空気が好きだ。

手早く着替えて上着も羽織って、窓を開け放てば身に刺さるような風が吹き込んでくる。
日の出間近の空はすっかり冬のフラスコブルーで、だけど息が白むにはまだ少し早い、初冬の空気。

今日はトワが朝食の準備に駆り出されているので、代わりに「彼の」エポナを散歩に連れていく約束をしている。厩舎に行けば彼女は待ち遠し気に待っていて、うちのエポナは膝を折って寛いでいた。
まあ、朝の散歩より水浴びより遠乗りが好きなお転婆を満足させるには、僕じゃ身長的に役者が足りない。暇を見つけて大きい僕が連れて行ってくれるだろう。

朝の森はやっぱり空気がひんやりしているけど、元々が常春のコキリの森だからかあまり寒くはない。エポナとふたりゆったり歩く。
森は薄暗いから、とトワが貸してくれたカンテラは僕が持つには少し大きかったし、まあ薄暗くても闇の神殿やウッドフォールに比べたら余程歩きやすいので、明りはつけないまま進んだ。
申し訳ないけど次回があったら大きい僕に断ってナビィについてきて貰おう。
こういうふとした時に、彼女(とチャット)のありがたみと、同時にトワの苦労を思う。妖精が居ない彼の旅はきっと大変だったろうから。

途中、朝早くから鍛錬に精を出すアイクを発見したのでそろそろ戻るよう忠告して、僕たちも道を折り返す。木々の間からは日差しが差し込み始めていた。


日が昇った頃僕とエポナは屋敷へ帰り着いた。今日もエポナたちの面倒まで見てくれるヨウコに水を頼み、僕も朝食を摂るべく食堂へ向かう。
本日の朝食は卵のスープとウインナーにベーコン、何て言ったか忘れたけどハイラルじゃ見かけない野菜のサラダ、クルミのパン、バターにジャムが数種と、多分デザートだろう赤い果物。
スープはトワが作ったんだろうか。慣れ親しんだハーブの香りが仄かにする何時かに飲んだ様な味だった。

朝は各自プレートで出てくるから比較的平和だ。カービィとかヨッシーのプレートが山盛りだったりするけど、気にしたら負けだし、害は無いし。
それでもカービィが他の人の食事を吸い込んでしまうことだってあるが、そもそも本人が遅い時間に食べるからあまり被ることがない。食事の次くらいに彼は寝ることが好きだ。もちろん、同室の大王も含めて。

デザートに出されたフルーツをケーキにしたいのだ、というピーチ姫の計画をなんとなしに聞きながら、僕は黙々と食事を続ける。

僕がふたつ目のパンに手を伸ばしたとき、向かいで紅茶を飲んでいたマルスが眉を顰めて立ち上がった。視線の先には食堂の扉、丁度アイクが入ってくるところ。
成程、以前鍛錬の後そのまま食事に来てこっぴどく怒られたのは覚えていたのか、今朝はシャワーを浴びてきた様だ。でも詰めが甘い。髪の毛が濡れたままではまた怒られるに決まっているのに。
案の定マルスに二言三言お説教を受けたアイクは、丁度そのとき食堂に入ってきたロイ――こちらは寝癖が付きっぱなし――と一緒に洗面へと連行されて行く。
ねぼすけのロイを連れてきた大きい僕は苦笑ながらそれを見送って、トワがそんな彼にホットミルクを渡して、僕にもおかわりのミルクをくれた。



実に平和な、いつもの朝である。





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当初は永遠の二番手視点だった←
行き詰ったので緑繋がりで子リンになった←←
食事係は作(ってく)れる人たちで当番制だけど基本は永遠の二番手が頑張ってる。


 

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