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  MZDとKK


コンビニの限定スイーツの魔力は凄まじい。

チョコにマロン、カボチャにさつま芋。秋らしく統一されながらも多種多様なそれは、そりゃあ購買欲を掻きたててくれる訳で。欲望赴くまま大人買いなんてしちゃったりして。
手元にはコンビニスイーツの山、占めてレジ袋みっつ分。甘いモノは大好物な俺様でもちょーっと多い。
せっかくの楽しみ、誰かと共有したいってのは最近のトレンドみたいだし、ここはひとつ幸せのオスソワケをしようじゃないか!


「馬鹿か」


自信満々、机の上に並べ立てたスイーツと俺の熱い思いは、たった三文字で全否定された。


「全部一度に買う意味が分からないし、それを俺のところに持ってくるのは余計に分からん」


ミミニャミにでもくれてやれ、と手で払うけーちゃんに頬を膨らませながら、俺は片端からスイーツのパッケージを開封する。
狭い部屋にはそれだけで甘ったるいくらいの香りが満ちたが、けーちゃんは呆れ顔を作りつつもしかめっ面にはならない。絶対に言わないけど甘いモノ嫌いじゃないのはちゃんと知ってるんだぞ。


「全部試したいから一度に買ったんですー」


一緒に付いてきたスプーンで、まずはショコラをひとくち。ん、美味い。
そのまま三分の一ほどを食べて次のモンブランへ手を伸ばすと、けーちゃんが嫌そうな顔をした。食べかけで他のを食べようとするのをけーちゃんは嫌がる。本人は定食とかも一皿ずつ食べないと気持ち悪いってタイプだから仕方ない。怒ったりはしないけど。
これが六だったら脳天に箸が…っと、話がずれた。

しっかり掬ってマロンペーストと生クリームが均等に乗っかった理想的なスプーン、口に運ばないで、けーちゃんの前に差し出してみる。


「で、けーちゃんと食べたいから持ってきたんですー」


はい、あーんなんて言ってもけーちゃんが食べてくれないのは勿論分かってる、けどね。


「せめて手ぇつけてない奴寄越せ」
「はいはい。俺様の分ひとくち残しといてよ」


こんだけ並べたらどさくさ紛れでけーちゃんが食べてくれないかな、って目論見は見事成功した模様。ほんと、誰か居ないと食事しないんだから。今度はパンとかお腹にたまるものも持って来ないと。

それから先にけーちゃんが食べたって関節チュウなんだからな!お代はそれで結構です!




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神毛まつりが何処かで発生していたらしいので便乗の様なそうでないような。
もっと殺伐とした感じになる筈だったのに無駄に甘くなった気がするのはスイーツ題材にしたせい。きっと。

 

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