僕等は二人で一つ






小さい頃からそう。
俺達は、生まれた時からずっとずっと一緒。
俺は政宗のこと一番わかってるし、政宗も一番俺のことわかってる。


「依存・・・だな」

かすがに言われた。

「お前達は依存し過ぎだ。
いくら双子でも、いつもいつも二人だけでいるのは、良くないぞ」

きつい声で、言われた。

俺達はいつも一緒。
家でも、学校でも。
いつも一緒。
二卵性双生児だから、顔も性格も全然違う俺達。
だけど、お互いが大好きだから。
だから、いつも一緒だった。



かすがの言葉に、その時俺は笑って「大丈夫だ」と言った。
だけど、大丈夫なんかじゃなかった。

そう気付いたのは、ついさっき。





「ひくっ・・・ぅ・・・」

屋上でうずくまる、俺の大好きな大好きな、最愛の弟。
うずくまって、顔を隠して、嗚咽を漏らす。

「政宗?大丈夫?」

悲しいくらい薄い背中を撫でると、ボコボコと背骨が浮き上がっていた。
そういえば、この前からよく吐いてたっけ・・・。
風邪気味だと笑って誤魔化してたっけ・・・。

「政宗・・・」
「ひくっ・・・さ、けぇ・・・」

政宗が、俺に縋り付いて泣き出した。
肩口が、濡れてる。
政宗が、泣いてる。

「かすがの・・・言う通りだったのかも・・・ね」

言う通りだったのかも知れない。
俺達は、依存し過ぎていたのかもしれない。
俺達は互いに依存しすぎて、互い以外の人間を遮断していたのかもしれない。

俺は、それでも上手くやっていけた。
それは、あんまり人に固執しない質だったから。
だけど、政宗は違った。
政宗は、小さい時から人見知りで。
コミュニケーションを取ることが苦手だった。

俺達は、お互いに依存しすぎてたんだ。
お互いしか、見えてなかったんだ。

「さ、け・・・」
「なぁに?」
「傍に・・・いて・・・」

潤んだ目で、政宗は俺を見上げた。
懇願するような。
何かを期待するような。
そんな目で。


ねぇ、かすが。
やっぱり俺達、このままでいいや。
だって、俺達は。




「・・・いるよ。ずっとずっと、傍にいるよ。
だって俺達は双子だもん。
ずっと、ずーっと一緒だよ」


そう言って抱きしめると、政宗が笑う。
花が綻ぶような、女の子よりもずっと綺麗な顔で、笑う。
そして、俺の手に自分の手を重ねた。


「俺も、ずっと佐助の傍に、いる・・・。
俺達は、二人で一人・・・だから」


依存でもいい。
何と言われようと、構わない。


だって俺達は双子。
合わさったこの手を、誰も解く事は出来ないんだから。





fin





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