「佐助ー、俺この家出るわー」
「そっかー」
「嘘ー」
「アイシー」
だらだら。
ごろごろ。
もう火をつけてないけど面倒で片付けてない火燵に入りながら、俺達はエイプリールフールを満喫中。
殆ど嘘らしい嘘なんて、ついてないけど。
「政宗ー、俺様家建てたー」
「マジかー」
「嘘ー」
「I seeー」
でも、俺達はこれでいい。
てか、これじゃないと大変な事になる。
丁度、去年の今日。
俺はマジで修羅を見ました。
エイプリールフールを知らなかった政宗に、『好きな人ができたから別れよう』なんていう嘘をついてしまったのです。
当然政宗は、嘘だなんて思わなくて。
一つの綺麗な目から涙流して、本気で泣いちゃった訳です。
で、後から『嘘だ』って言ったら・・・・・・。
これから先は、思い出したくない。
だって・・・ホントに恐ろしかったから。
だから、嘘だってわかる、ふざけた嘘。
嘘とも言えないような小さな嘘でいいのです。
「佐助ー」
「なにー?」
「愛してるー」
嘘でもいいよ。
その言葉が聞けたのが、ものすごく嬉しい。
ほっぺゆるゆるだよ、俺様。
「ありがとー!俺もー!!」
「嘘ー」
「嘘じゃないー」
恥ずかしがり屋だし、強がりだし。
頑固だし、寂しがりだし。
さらには天の邪鬼。
そんな政宗は、素直に好きとは言えない。
いつもは、言わない。
だけど今日は嘘つきの日だから。
嘘だって嘘ついて「愛してる」って。
その言葉が嘘だっていうのが嘘ってこと、俺は知ってるよ。
fin
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