生きるって







俺は、何のために生きているんだろう?



どうして、此処にいるんだろう?



どうして、生きているんだろう?





時々わからなくなる。
自分が此処にいる意味と、生きている意味が。
どうしてだろう?

辛くなる。
此処にいて、こうして呼吸をしている事が。
生きて、この身体があることが。

辛くて辛くて
壊れてしまいそうになる時がある。


今日の朝。
ゴミステーションに行った。
いっぱいの生ごみ。
腐臭。
気分が悪くなった。

そのままその辺をフラフラした。
何となく、空がきれいに晴れてたとか、そんな理由で。
そこで見つけた。

細い道路の車道の端っこ。
猫が一匹、死んでた。
真っ黒な、きれいな黒猫。
飛び散った血はもう、乾いてる。
いつ、轢かれたんだろう?
もう、わからない。

黒猫は死んでいた。
冷たくなっていた。



「なぁ、お前は死んだ時、どんな気持ちだったんだ?」



猫の気持ちはわからない。
そもそもコイツらにはココロってもんがあるのだろうか?
人間のように、哀しかったり、辛かったりって事が、あるのだろうか?

そう考えたら、この黒猫が羨ましくなった。
どうして人間ってのはこんなにも、息苦しいんだろう?


「俺とお前、入れ代われたらいいのに」


俺は、おまえにはなれない。
死ねない。
あぁ、息苦しい。




家に帰り、真っ先に自分の部屋に入った。
なんだか今は、誰にも会いたくない。
黒猫が可哀相だったんじゃない。
ただ、苦しい。
生きる事が。

衝動的に、テーブルに放置してあった黄色のカッターを手に取った。
長く刃を出し、長袖の袖をまくる。
そっと刃を当て、引く。


「何してんのっ!!!」


刃は腕に新しい蛇を作ることはせず、佐助の手によって叩き落とされた。
カラン、
乾いた音がする。

パシンっ
そのまま平手で、頬を打たれた。
痛い。

「・・・もうやめてって、言ったでしょっ!?」

痛みの後に、ぬくもりが俺を包む。
佐助が強く強く、俺を抱きしめる。
まるで俺の存在を、此処に必死につなぎとめるように。


「・・・さすけ」

「もう、ダメだって。自分を傷つけちゃ、ダメだって・・・」

「うん」

「うん、って言っても、政宗またやる」

「やんねぇよ」

「嘘。この前も同じ事言った」


佐助、怒ってる?
何で?
俺なんて、此処にいる意味無いのに。


「・・・お願いだからさ、俺を一人にしないで?」


「政宗の体を、これ以上傷つけないで?」





「蛇さんこれ以上、増やさないで・・・?」





俺の腕には、沢山の紅い蛇がいる。
俺は今こうやって佐助の言葉に安堵して全てを任せているけど、それはいつもほんの一瞬。


いつか


いつか、永遠の安らぎなんてものが見つかって

俺の生きる意味は、見つかるのだろうか・・・?





fin














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