03
定期的に行われる貴族達の懇親会。普段ならばエルヴィンだけがその場に赴くのだが。時折その面倒な行事に腹心も強制的に連れて行くことがたまにある。
もちろん面倒だと断るが、結局最終的にはリヴァイもエルヴィンの言う事に従う。
リヴァイを連れて行けば貴族達の受けもいい事から本来なら毎回連れて行きたいのだが。無表情ながらも二人を見送るなまえの顔を毎回見るのは心苦しい。

「すまないね、なまえ。一晩だけ、リヴァイを借りるよ。」
「いえ…お気をつけて、いってらっしゃい…」

僅かに顔を伏せる。顔を合わせようとしないなまえにリヴァイは舌打ちをひとつ。その音にビクリと震え身体を小さくちぢこませる。その小さな子供のようななまえの頭を一度撫で、後ろのハンジに行ってくる、と注げるとヘラリと笑って手を振る。
リヴァイとエルヴィンは馬車へ乗り込みシーナで行われる貴族達のくだらぬパーティーへと向かった。

「エルヴィン…」
「なんだい。」
「……なまえに触んな。」

リヴァイの機嫌は終始悪く、エルヴィンは終始居心地が悪かった。



苛立ち棘立つ殺気のようなものを漂わせながら深夜、リヴァイは寝静まった調査兵団宿舎を足音を響かせながら帰ってきた。
風呂に入る時間も惜しかった。
盛り立った女達の蜜の匂いを漂わせ帰れば、待っているであろうなまえは嫌がり拒絶するに決まっている。だがそうなれば抑え込んでしまえばいい。命令すれば逆らう事はない、嫌がるのなら蹂躙してしまえばいい。リヴァイの言う事は必ず聞く。なまえの抵抗などリヴァイにとっては赤子同然。

そして気づく。リヴァイの私室の前でしゃがみこむ小さな人影を。
月明かりがほのかにその人物を照らす。

「……なまえ。」
「あ…、おかえりなさい…兵長…」

眠いのだろう。焦点の定まらない仕事でリヴァイを見上げる。丁度いいと呟いて、寝ぼけるなまえを抱きかかえ部屋へと入る。
そしてなまえは気づく。その漂う匂いに身体を固くさせる。

「も、もう、部屋戻るから…っ」
「なんであそこにいた。」
「…っ、ぺトラと分隊長が…どうせ兵長が来るんだから部屋の前で待ってろって……追い出されたの…」

夜遅くに起こされるのは勘弁してね、と肩を竦めながらぺトラに言われてしまっては渋々と部屋を出るしかなかった。
せめてもの救いは一枚の毛布を託された事で冷える夜も外で待つことが出来た。

「でも、もう会えたし…用事も終わったから、私帰っ、」
「俺の用事は終わってない。」

そう言いながらリヴァイはなまえをベッドに投げ捨てる。身を固くして殻に閉じこもろうとする少女に優しく触れ、そして抵抗しようと身をよじる身体を抑え込む。
上から押しつぶされるようにゆっくりと体重をかけられればいくらなまえとて、そこから抜け出すことは不可能だ。
キスをしようとリヴァイが顔を寄せれば、ふわりと漂う匂いになまえは顔を背けそれを拒む。そんな彼女の頬を撫で、顔にかかる髪を払って露出された耳に齧り付くと、その肩が大きく震えた。

「…嫌か?」
「…ぅん…」
「そうか…なら、お前が消せ。」

その言葉になまえは目を見開く。背けていた視線を再びリヴァイに向けると手を取り、リヴァイの首元へ誘導される。
熱く脈打つそこを撫で、そして先ほどの言葉を理解する。目を閉じてその鼓動を打つそこに顔を寄せ、そして口づける。



段々と漂うほんのりと甘い匂いにリヴァイは興奮していた。夢中で首を舐め、時折甘く噛む少女の頭を優しく撫でながら、その少女から放たれる匂いを堪能する。
首元をくすぐる髪に鼻を寄せれば石鹸の匂いと共に花が虫を誘うような甘い甘い蜜の香り。作り物の香水などではなく、上等な少女自身から放たれる香りがリヴァイを酔わす。
情事になる度思う。この女の正体は花なのでは無いかと。
男を誘うように甘い匂いを放ち引き寄せ酔わせ虜にさせ、そして離さない。麻薬のような香りに夢中になり一度味わえば二度とほかの女など目に映らないような中毒性を持つ。
そしてリヴァイは思う。
この女の育ちがあまり良くなくてよかったと。
人に疎まれ育ったからこそ純粋に純白に潔癖に育ったために、今こうして身が誰にも穢される事もないまま真っ白な状態でリヴァイと出会えたのだから。
そして必死に貴族の娘につけられた香水の匂いを消そうと躍起になるなまえの背を撫で、強く抱きしめると首元に寄せていた顔をあげる。
情欲に染まる瞳でリヴァイを見上げる。口端から垂れた唾液を舐めとるとなまえの手がそっとリヴァイの首元を撫でる。

「落ちた…かなぁ。」
「さぁな…わからねぇのか?」
「ん…なんか、さっきより、甘い匂い増しててよくわからなくなりました…」

まさかその匂いを自分が放っているとは露にも知らないだろう。その様子にリヴァイはまた満足する。自覚ないからこそ、艶やかに男を誘う女がこうして無垢な少女の形をまとっている姿にそそられるのた。
なまえの背を抱いたままゆっくりと再びベッドへと押し倒すと、今度は身を固くせずただリヴァイにされるがままになる。しかしその目には疑問を浮かべたままリヴァイを見つめるが、それを気にする事もなく服をたくし上げる。
それを見てこれから行われる事を理解したのか身体を震わせ条件反射的にリヴァイの手を掴む。

「離せ、なまえ。」
「…でも、…もう寝ないと…」
「お前が気にする事はない。どうせ気絶するんだからな。」
「…でも、兵長疲れてるでしょう?」

だからまた今度、と紡ごうとする口をふさぐ。舌を入れてかき回せばあっという間に息を乱し呼吸の仕方を忘れる。
息を吹き込み、時折それに自身の唾液を混ぜれば抵抗することなく喉を鳴らしてそれを飲み込むなまえ。
だらしなく開けられた口に何度も舌を差し込みながら、たくし上げ外気に晒された肌をなぞるようにゆっくりと撫でる。

「…ひ、ぁ…あっ、…は、」
「…ん、…なまえ?」
「ふぅ…ん…、あ、ぁん…」
「そうか、気持ちいいか?なまえ?」

顔を赤くさせ小さく一度頷く。声を抑えようと唇を噛むがそれもリヴァイによって阻まれる。手を伸ばし助けを乞うようにリヴァイの首にしがみつけば、ダイレクトに耳元で喘ぎ声を聞かされる。それがまた行為をエスカレートさせるとなまえは知らない。
案の定その艶を含んだ声を聞かされ時折漏れ出る吐息が耳を刺激して、リヴァイは気分は最高潮まで高まった。
早急に下着をあげ直接露わにされた性感帯を嬲り、弄り、こねくり回せば、なまえの声は一段と高くあげられた。
手の動きはそのまま止めることなく、リヴァイの眼前でほんのりと桃色に染まった首元へ口を寄せ、胸を嬲る手とは反対の手で浮き出る背骨をなぞる。その行為になまえは悲鳴のような声をあげ、身体を固くさせリヴァイの首に縋る。
また、香る。僅かに匂いが濃くなり、リヴァイの鼻腔を刺激した。
その匂いを嗅いで一度息を詰まらせる。

「なまえよ…」
「んっ…なんですか……あ!!や、やっ…だめ、そこっ…」
「ああ…頼むから、ほかの男をこれで誘ってくれるなよ…」

手に余る女だ。リヴァイの手にも負えなくなる。
もしほかの男がこれを知って、そしてなまえの心がリヴァイから離れてしまったらと考えると、そう考えただけで、どうしようもない喪失感が心を満たす。
ならば、しっかりと逃げぬようにリヴァイという男をその身体に刻み込むしかない。
背を撫でていた手をゆっくりと腰のくびれ辺りに移動させ、そしてその先の更に下の、一枚の布で未だ守られ隠されているそこに手を向ければリヴァイの手を慌てて止める。
それを受け、ちらりとなまえの方へ視線をやれば不安そうな目で行為の行方を見守っていた。

「そ、こ…そんなとこ…女の人に触られてないから、もう、いいでしょ…?」

確かに、貴族の娘たちとはそこまでの行為はしていない。するつもりもないが。
だからこそ、もうこの行為を止めろと、そう涙を浮かべて訴えかけてきた。
しかしリヴァイは止めるつもりなど毛頭ない。ここまで煽られ、匂いを漂わせ無意識とはいえ誘ったのはなまえだろう、と、なまえからしてみれば理不尽極まりないような理由を述べ、湿ったそこへ指を差し込む。
狭いそこは熱く蒸れて僅かに指を動かしただけでも響く水音と、嬌声。何度も動かし抜き差しして、中を広げるように指を回す。

「あっ、や…ぁ、……っ!ん!!」
「おい…声抑えるなって言ってんだろ。」
「ぅ、や…こえ、やだぁ…っ、」

普段からは想像もできないような甘く響く声を恥ずかしがって、息を止めるようにするのがなまえの悪い癖だ。固く引き結ばれた口を誇示上げ舌を差し込んでやれば、自然と甘い声がまた響く。
口内を暴れ回るリヴァイの舌を噛まないように必死に口を開けて、しかし与えられる快感が強すぎてなまえを弄ぶ指を強く締め付ける。そうすればそうするほど指の動きがより正確にそこから伝わって、さらに嬌声を甘く響かせる。
蒸れて溢れ出た蜜のせいで最早使い物にならなくなったもう一つの下着も足から抜き去り、そして当然のようにリヴァイはそこへ顔を寄せる。
より一層鼻腔をくすぐる甘い匂いがそこから強く香ってくる。汗に混じったその甘酸っぱい匂いを僅かに嗅ぎながら、目の前で溢れてシーツを汚す蜜を勿体ないと思い、匂いもそこそこに沸いては零れ落ちるそこへ舌を差し入れる。

「ひ!!…あ、だめ…や、」
「なまえ…、…ん、ん…」
「だめ…汚いから…っ、あっ、兵長…っ」
「汚くねェ…いいから、黙って足広げてろ…」

必死に手を伸ばしてそこを隠そうとする、その手を退け、今度は足を閉じようとする、その足を広げて押さえつける。
何度綺麗だと言っても汚いと言ってそこを隠す。なまえの身体で汚い場所などありはしない。リヴァイが全て暴いて確認したのだから間違いない。

「なぁ、なまえ…?」
「ん…?なに…?」
「お前、今日いつもと違うだろ。いつもより…甘い。」

蜜が、いつも控えめに主張する甘さが今日は何故かいつもより甘い。
もう一度確認するように指を入れて掬い取りそれをペロリと舐める。それを何ともないようにやってのけるリヴァイからなまえは顔を逸らした。
ああ、やはり甘い。味わって舐めなければわからないような本当にわずかな甘さのくせに、今日のはただの一滴でも舐めとれば控えめながらも確かに舌の上で主張している。

「なぁ、なまえ?なぜだ…?」
「し、知らない…わかんない、です…」
「そうか…」

まぁいいか、とすぐに疑問を捨てる。
そして再びなまえの身体を味わう事へ意識を集中させる。
体重を押し付けなまえの身体をベッドへ潰す。僅かに動く事すら許されなくなったなまえの唇を貪りながら、熱く滾る自身のそれを湧いては溢れるそこへズブリと音を立てて埋め込む。
あまりの快感に息を止めようとするなまえの口内へ舌を差し込みながら、リヴァイ自身の息と唾液を送って呼吸を促す。
それを繰り返しながら、ゆっくりと根本深くまで肉壁を掻き分け押し進める。
ようやく全て終わった後、口を離してやれば、浅く小さく息をしながらブルリと一度震える。

「平気か?なまえ。」
「ん…は、…へ、ぃき…ふっ」
「まだ動かん。だからちゃんと息整えろ。」

でなければすぐに呼吸の仕方を忘れるんだから、全く手のかかる女だ。
大きく胸を上下させ何度も息を深く吸いゆっくりと乱れていた息を整える。息を吐く度締め付けられるが、そこは理性を総動員させてなんとか耐える。
そして、ふぅ、と最後に一息つくと、閉じていた瞳を開けてリヴァイを映す。

「兵長…」
「……なんだ。」

両の手が伸ばされ首へ絡む。その手に引き寄せられ、そして近くなったリヴァイの首筋を何度か鼻をならす。

「匂い、消えた…?」
「さぁ?どうだろうな。」

その言葉に、首へ絡む手も、リヴァイを締め付けるそこも、ぎゅっと力が入る。
そして縋り付くように抱き着くなまえの頭をゆっくりと撫でると、くぐもった声がぽつりと小さく呟く。

「私の匂いも、染みついて落ちないようになればいいのに…」

染みついて一生取れなくなってしまえば、きっとリヴァイにすり寄る女達もその匂いに不快感を示して寄り付かなくなってしまえばいいのに、と。そんな幼稚な言葉を口にする。
ああ、なるほど、とリヴァイはどこか納得した。
だからいつもより甘く匂い甘く漂わせ、溢れた蜜が甘かったのもリヴァイを離さないようにするための、なまえの必死の抵抗だったのか、と。
一度なまえの腕を離してやる。僅かに涙を浮かべた瞼にキスを落とし、そっと頬を撫でる。

「あまり、俺を誘うな…歯止めが利かなくなるだろう。」
「…なんの、こと?」
「ああそうか…お前はいつも無意識だったな。」

はぁ、とひとつ溜息をついて、細い腰を掴む。
こんなに漂わせなくてもとっくに俺はお前のものだと、そういってやるのがなんだか悔しくて、逃げないようになまえを押さえつけ律動を開始する。
意識してこの匂いと味で誘ってくるのはいつになるだろうかと考えながら、今夜は歯止めが利かなくなりそうな事を先に詫びる。

「でも、なまえが悪いんだから…な、」
「んあ!あっ…ひゃ!!」

理不尽だと視線を投げかけるなまえの頬を伝う涙をペロリと舐める。
涙さえも甘く感じてくるほど、お前に酔っているのだから。




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