朝、いつものように目覚まし時計の音で目が覚めた。覚醒しない頭で、なんとか煩い目覚まし時計を止める。時間を見てみると、時計の針はもう十時を指していた。どうやら昨日、セットするのをミスしたらしい。けれど、今日は土曜日で特にやることもないので、何時に目が覚めようが特に気にならなかった。
ゆるゆると手を動かして、ベッドのどこかにあるスマートフォンを探す。するとそれは枕の下にあって、なんでこんなところにあるんだろうと思った。ロックを解除して連絡が来ていないか確認する。どうやら二十分ほど前に一度着信があったようだった。リダイヤルをタップして相手に電話をかける。その人はすぐに出た。

『もしもし? やっと起きたか』
「…おはよ、陽介」
『おー。おはよ』

さっき電話をかけてきたのは、私の彼氏である陽介だった。確か今日はなにも約束してなかったはず、と目を細めて壁にかかっているカレンダーを遠目に確認する。すると陽介は電話の向こうでくつくつと笑った。

『いま少し焦ったろ』
「うん。デートとか約束してたっけって思った。何かあった?」
『特になんも。ちょっと声聞きてぇなーと思って電話してみた』

陽介がこんなことを言うなんて珍しい。本当に何かあったのかと思ったが、カレンダーを見てそうじゃないと気が付いた。私たちの学校は昨日まで期末考査があったのだ。私と陽介はクラスが違うから、考査期間は必然的に会うことが少なくなる。可愛いところもあるんだな。思わず口元がニヤけそうになった。

「陽介、いまヒマ?」
『いや、これからボーダーの仕事』
「そっか、残念」
『悪ぃ』

これからデートにでも誘おうかと考えたが、ボーダーの仕事なら仕方ない。街の平和が第一だから。
仰向けの体制からうつ伏せになって、枕に顔を埋める。やっぱりそば殻の枕は気持ちいい。

「陽介、怪我しないでね」
『心配すんなって。お前はもっかい寝んの?』
「うん。そうしようかなぁ」
『そっか。……じゃあ、おやすみ』
「うん、おやすみ。気をつけてね」

ぷつり。電話が切れる。途端に襲ってくる眠気に瞼が閉じた。


160715 魔女



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