※書き終えてから荒北が寮生だと気付きました。そこの描写はスルーをお願いします。



「お腹重いんだけど」

ベッドで満足気に横たわっている靖友にそう言えば、彼はバツが悪そうな顔をした。
久しぶりのセックスだった。靖友はインターハイの練習があったし、私は就活に勤しんでいたから。だから当然会うことも少なくなって、インターハイが終わるまでは学校ですれ違うくらいしか、顔を見る機会がなかった。寂しくなかったのか、と聞かれればもちろんそれなりに寂しかった。けれど、靖友には靖友のやることがあったし私もそうだったから寂しさよりも忙しさが上回っていたのだ。しかしインターハイが終わり、私もそれなりに就活に落ち着きが見えたいま、彼は本当に飢えた獣のようだった。
いつ振りか分からないデートのあと、家に連れ込まれ服をひん剥かれてベッドの上で喘がされて。がっつかれるのは嫌いじゃないけれど、もう少しこちらの身体も労ってほしい。私は靖友と違って運動部に所属してないのだから、体力の差は歴然だというのに。
靖友は寝っ転がっている私の頭をゆっくり撫でる。ちょっと申し訳なさそうな、けれど全く反省はしていない顔。この男は、と頭にきて枕で靖友の顔を叩いた。

「いってぇ!なにすんだてめぇ!」
「反省してない靖友が悪い」
「…してるっつの」

当たり前だ、反省してくれないと困る。靖友から視線を外してベッドの側にあるゴミ箱を見れば、使用済みのコンドームがいくつも捨てられていた。一体何回シたのやら。最後の方はもう感覚がなくなったせいで、私は覚えていない。

「そんなにシたかったの?」
「うっせ」
「優しくないなぁ」

しかし靖友は素直じゃないから、これが照れ隠しだということも私はちゃんと知っている。今度は私が手を伸ばして彼の黒髪を撫でる。少し文句言いたげな瞳で私を見るものだから、思わず笑ってしまった。

「てめ、なに笑ってんだヨ」
「だってなんか可愛いんだもん」
「………」
「ねぇ、靖友」
「あ?」
「これからはお互いそれなりに時間取れるんだからさ、次は優しくしてね」
「…おう」

150112 酸性



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