帰り道、いつものように何となく若松を待っていると、青峰に会った。相変わらずだらしなく制服を着て、面倒臭いというオーラを全身に纏って歩いている。青峰は私に気が付くと、名前だと言って近付いてきた。

「せめて先輩を付けようよ」
「別にいいだろ」
「敬語も使ってよ。私、仮にも先輩だよ」
「うるせぇな。分かったよ、名前センパイ」

文句を言いつつちゃんと聞いてくれるなんて、青峰は案外いい子だ。ただ暴力は頂けないけど。青峰は前に若松を蹴ったことがあるから、少し苦手だ。

「あいつ待ってんの?」
「あいつ?……ああ、うん。そうだよ」
「ふぅん」

青峰は意味有り気に学校の方を見ると、私の隣に立つ。一体なにがしたいのかよく分からない。でも彼のそんな行動は毎回だから、一々なにか言ってもいられない。

「名前センパイってあいつといるとき以外は言葉遣いとかいいよな」
「え、そう?」

そう言われてみれば、確かに。私は若松といるとき以外に暴言を吐いたりなんてしない。例外として、今吉先輩に愚痴を言うときも悪くなるけど。
どうしてだろう、と今までの場面を思い出す。大抵、喧嘩するときは若松から吹っかけてくるのだ。それで私もそれに返して。ならば原因は若松しかいない。若松は、どうして私に嫌なことを言うようになったんだろう。

「なんで青峰がいるんだよ」
「え?」

気が付くと目の前に若松がいた。心底嫌そうな顔をして青峰を見ている。青峰はそんなことお構いなしにあくびなんてしていた。ああ、これはマズイ。この二人を会わせるなんて危険なことしか起こらないのに。
何か言おうと口を開くと、青峰が私の頭を掴んだ。そしてそのままグリグリと頭を撫でてくる。意味が分からなくて余計に混乱。

「え?あ、青峰?」
「じゃあな、名前センパイ」
「あ、うん。バイバイ」

私の頭を撫でて気が済んだのか、青峰はそう言って帰って行ってしまった。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -