二十四日はあっという間に来た。私はいま米屋と待ち合わせをしている。時刻は午後六時半。辺りはすでに真っ暗で、私の側ではイルミネーションが様々な色にキラキラと輝いていた。綺麗だね。なんて言い合ってるカップルを横目に見ながら、ため息を吐く。口から白い二酸化炭素が吐き出されて、そして消えた。嗚呼、人肌が恋しい。
米屋は今日は夕方までボーダーの仕事らしい。十七時には終わる予定だから、と言われていたのだけど、もうそこから一時間半ほど過ぎている。待たされるのは構わないけど、連絡がないから少し心配になる。けれど、A級だからきっと怪我したりしてはいないだろう。
寒いなぁ、と呟いて手を擦り合わせていると、向こうからこちらに向かって走ってくる影が見えた。もしかしたら米屋かもしれない、という予想はその人の顔がイルミネーションに照らされた瞬間に確証に変わる。

「ハァ、わり……。待ったよな」
「ううん、平気。それよりお疲れさま」
「サンキュ」

それから、どこ行こうか、なんて会話をしてとりあえず歩こうということになった。二人並んで当てもなく歩く。クリスマスイブに寒い外でなにしてるのか。あまりにも寒いものだから、米屋の前だとはばかるのをやめてコートのポケットに両手を突っ込んだ。

「名字、手袋は?」
「なくした」
「ふーん」

米屋がちらりとポケットに入った私の手を見る。いま世間で流行っている女子力の欠片もない自分に、我ながら呆れてしまう。すると米屋がおもむろに私の左腕を掴んだ。

「手、出せよ」
「こう?」

左手をポケットから出して米屋に見せる。外気の寒さにどんどん手が冷たくなった。なにをするのだろう、と疑問に思っていると、米屋の右手が私の左手を掴んだ。びっくりして思わず身体が硬直する。彼の手は意外にも温かかった。

「お前の手、結構冷たいな」
「ひ、冷え性だから…。っていうか、なんで、手、」

米屋はなにも言わずに薄く笑った。訳が分からない。私はいま、恋人でもない米屋と恋人繋ぎをしている。触れ合っている部分が温かくて涙が出そうになった。

「なぁ、とりあえずメシ食おうぜ」
「……うん。いいよ」
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