今日は家で勉強しよう。学校で授業を受けているとき、ふとそう思った。最近、今吉くんと勉強をしているとボーッとすることが多くなった。もう九月も終わりに差し掛かっているというのに、古典の過去問がほぼ手付かずの状態だ。予定していた範囲をかなり下回ってる。このままでは落ちてしまうかもしれない。焦ることが悪いことだとはよく分かってる。頭では分かってるけれど、心が追いつかない。不安で不安で仕方がない。だから今日はしっかり勉強しようと決めた。

「ねぇ、名前」
「なに?」
「この間、桐皇学園の男の子と一緒に歩いてなかった?」
「ゴホッ!えっ、なんで知って、」

昼休み、友達とお昼ご飯を食べていると友達からそんなことを聞かれた。しらばっくれればよかったのに、咳き込んで、しかもそこまで言ったらもう後の祭り。友達は今吉くんを思い起こさせるニヤついた顔で、私の肩をバシバシと叩いてきた。

「そっかそっか!名前にも春が来たんだねぇ。で、だれだれ?私、知ってるかもしれないよ?」
「あーあー、うるさいうるさい。別に春じゃないし、ただの友達だよ」
「ええー?」

友達はつまらないと言った顔でお弁当に意識を戻した。私もホッとして卵焼きに箸をつける。根掘り葉掘り聞かれなくてよかった。元々私は恋愛話は聞くタイプだし、友達の彼氏は桐皇学園の三年生だから、確実に今吉くんのことを知ってるだろう。そんなことになったら大変だ。私にとっても今吉くんにとっても。
最後のプチトマトを食べ終えると、友達はお菓子を差し出してきた。私の大好きなお菓子。だけど魂胆が見え見え過ぎて、思わず笑ってしまう。

「お菓子で釣ろうなんて、そのテには乗らないよ」
「バレたか」




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