彼、今吉翔一くんは私の第一印象からはとてもかけ離れた人だった。関西弁だし結構チャラチャラしてるし何を考えてるのかよく分からない。第一印象のままなのは頭の良さだけだ、と 一緒に勉強してて思うようになった。
あれからメールアドレスも交換した私たちは、ここ数日でかなり仲良くなり一緒に勉強するようにまでなった。一緒、といっても今吉くんは部活があるため合流するのはそれが終わってからになる。ガタイが良いし背も高いから、バスケをやっていると聞いたときは納得した。WCという大会が控えているから、今は忙しいらしい。それでも三年生だから活動時間が短いというんだから驚きだ。

「なに考えてるん?」
「え?」
「手、止まっとる」
「あ……。ううん、なんでもないよ」
「……少し休憩しよか。名字、さっきからやりっぱなしやろ?」
「…そうだね」

今吉くんは気が利くというか、人をちゃんと見てる。今だって私が集中力切れてきたのが分かったんだろう。普通だったら考えてる、って思うはずなのに。
いま私たちはカフェに来ていた。ここは個人経営の店だからあまり人がいない。だから受験勉強にはうってつけだった。消しカスを散らさないよう一箇所に集めて、カフェオレのおかわりを注文する。今吉くんはブラックコーヒーだった。

「意外やな」
「なにが?」
「ブラック頼むと思ってたわ」
「飲めるけどね。カフェオレの方が好きだから」

今吉くんも、私が第一印象と違ったと思ってるんだろうか。確かにしっかりしてそう、真面目そうとは言われるけれど。まぁ、そこはお互いさまだろう。
今吉くんが運ばれてきたブラックコーヒーに口をつける。ここは第一印象通りで、すごい様になっている。格好良いな、と考えていると今吉くんはニヤッとした。

「そんなに見られたら穴開くわ。照れるで」
「そんなニヤついた顔で言われても…。照れてないでしょ?」
「照れてる照れてる」
「嘘ばっか」

ていうか穴開くほど見てたことにはツッコまないんやね。そう言って今吉くんは笑う。
予想外の一言を言われた。私はまたそんなに彼のことを見ていたんだろうか。なんだか恥ずかしくなって、側に置いてあった角砂糖をカフェオレに落とした。




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