四季菜生徒会能力談義。

「そういえばさー」

ふわりと花の香りが漂う。
その元は白百合鈴蘭という名の、まるで女子のような男。
くるりと癖のついた髪を指に巻き付けながらゆったりと発言する。

「桃樹の能力って何だっけ」

しん、と静まる音がする。
いつもそれなりに賑やかなこの『生徒会室』なのだが。
その場にいた女子二人、黒川茨と藤村紫陽花は静かに談義を始める。

「知ってるか、紫陽花?」
「んー?あれって能力なんですかねえ」
「あれ、とは」
「あれですよ、あれ。あのなんかうざったい」

うざったい、という言葉が出た瞬間に鈴蘭はそう!それだよ!と弾けたように発言する。

「そうそう、うざったい……」
「うざったいってなんだよー!!!」

急に叫んだのは、議題の主。
能力は何か、と問われていた桜庭桃樹である。

「だってうざったいじゃないの」
「うざったいです」
「うざったいよねえ」

トリプルパンチを喰らった桃樹は尚も負けない。

「情熱的って言え!情熱的!!お前ら、端から自分の能力言ってけ!」

「物体にかかる力の増幅」
「強運です」
「心への干渉、だよ」

茨、紫陽花、鈴蘭が順に桃樹の問いに答える。
最後に桃樹は被せる。

「そうだろう?俺の能力は?体力と筋力の増強だ。全くもって情熱的だろ?」

暫しの静寂。
しかし桃樹に返される言葉はあまりに哀れなものだった。

「それが」
「うざったいって」
「……言うんだよねえ」

「仲良く三分割するんじゃねえ!!!」

「情熱とうざったいは紙一重……すぅ」

奥で眠る葉山翠はそう締めくくった。
いつもの生徒会である。


お題:情熱的な超能力 制限時間:15分


Thank you for reading!!

2013/05/12 執筆
2016/05/05 公開


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