3

「好きなんだ、君が。」

独り言のように呟いた。
そのこ言葉にちらり、と向けられる視線に心臓が刺すように痛い。
ナルトは震える手を必死に抑えようと、握り締めている。
その姿は初めてカカシ先輩とのことを打ち明けてくれた、まだ幼さが残るナルトの姿と同じに思えた。
それがたまらなく悔しくてナルトを抱き締めたい衝動に駆られる。

「…なんで、んなこと…っ、言うんだってばよ……っ!」
「ナ、ナルト?」

ばっ、と勢いよく上げられた顔はまた違った涙で濡れていた。
突然のことでナルトの言葉を理解できずにいる僕にナルトはまた言葉をぶつける。

「…んなこ、と…言われたら俺ってば…も、どうしていいか分かんなくなっ、て……ぅう、」

そう言って涙を流すナルトを、無我夢中になって抱き締めた。
いつも強がってばかりだったナルトの本当に弱い姿を目の当たりにして為す術もなく、抱き締めることしか出来ない自分がまた悔しくなる。
無力さに駆られて目を伏せていると、頬にナルトの手が添えられた。
その手も、震えていた。

「…なんで、隊長?」
「なに…がだい?」
「なんで俺なんかっ、」

叫んで、また涙を流して、僕にしがみつくような形で抱き締め返された。
そのままナルトは僕の名前を呼び続けた。
名前を呼ばれる度に、苦しくなってナルトを抱き締める腕に力がこもる。
次第にナルトの目が赤くなり嗚咽で肩が震える。
背中をゆっくりと撫でて、落ち着かせてやる。


それから暫くそうしている内にだんだん呼吸が深くなり、ナルトが疲れてそのまま眠ってしまったのだと気付くのに時間は掛からなかった。
涙が乾いて跡になっている頬に手を添える。
本当に君が、カカシ先輩との今の関係が、それでもいいと言うなら僕は何も言わなかっただろうし、何も手は出さなかった。
けど、皮肉にも僕はナルトに近すぎたんだ。
近くにいたい、支えになりたいと思った。
どんな形であれ。
その形がこんな風になるなんて、思ってなかった。

眠ってしまったナルトを寝床に運び、布団を掛けてやる。
傍を離れようとすると、しっかりと握られた手に気付く。
振りほどこうにも、はばかられる。

「……参ったな。」

これじゃまるで、求められてるようで複雑な心境だ。
はぁ、といつもより一段と深い溜め息を付き寝床の脇に座り込んだ。
それから、眠るナルトの髪を梳いた。
これくらいなら許してもらえるかな、ナルト。



終わり

再掲
美味しいところを全部持ってくヤマト隊長が書きたかったんです多分…←
本当はエロも書きたかったんですが、流石に駄目ですか…orz
このあとカカシ先生がヤマト隊長んとこにナルトが飲みに行ってたのを知って嫉妬でもなんでもすればいい←←


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