砂トキ140字SS


★世界はそれを

イライラするぜ。
「それは“誰に”対してですか?」
…なんて涼しい顔で尋ねてくるお前にだ。
この苛立ちはお前の歌を聞いたあの雨の日から止まらず、鬱陶しいはずなのに不思議と愛着すら沸いて来た。
分かっているさ、この愛すべき苛立ちこそ、お前に対する感情そのものだってな。


★笑顔の練習、しませんか

「一人でやればいいだろうが」
「相手がいないと練習にならないんです」
「よりによってなんで俺なんだよ」
「あなたの前でなら失敗してもそれ程恥ずかしくないので」
「…俺には気を許してるってことか?」
「勘違いも甚だしいですね」
「事実じゃねえか」
「…お好きなように解釈してください」
「でもお前、練習なんかしなくたって普通に笑えてるだろ。例えば今とか」
「え」
「意識するから駄目なんだよ。気付いてなかったのか?」
「初耳です…」
「この鈍感」

(HAYATOを演じなくても素直に笑えるようになるため一人練習を積み重ねるもののうまくいかなくて砂月を練習に付き合わせるトキヤ)


★すきにして、いいよ。

こいつはHAYATOという仮面を被っている時だけ妙に素直だ。まるで甘え方を知らない子供のよう。か弱い瞳が震えながら見つめてくる。
そのいじらしさの裏に、ひどく貪欲な一面が潜んでいることを俺は知っている。
…いいぜ、お前の望む通りの「獣」を演じてやるよ。


★今ここで抱きしめたい

彼は決して涙を流さなかったが、きっと泣きたいのだろうと思った。
「…今は誰も見ていません」
腕を伸ばしその広い背中に回す。彼は私の腕の中でゆっくりと空気を吸い込み息を止めた。
(ああ、泣いている。)
無言の嗚咽が聞こえたような気がした。


★もう一度、もう二度と、君を離したりしない

奇跡などという不確かなものを信じたことはないはずだったのに。
「こんな所にいたんですね」
もう一度会いたいと願った。想い合うことだけは許されたかった。私達の生きる世界は相変わらず窮屈で、だけどあなたがいてくれるだけで、こんなにも愛おしい。

(転生っぽい砂トキ)


★戻れない、戻らない

手首を拘束する力は弱く、その気になればいつでも振り払えた。しかし私には、あなたの淋しい瞳を置いていくことなどできそうにない。
「…まだ戻れるぞ」
優しいあなたはまだ逃げ道を用意してくれるけれど、もういいんです。首を横に振る。
そして、私は透明なボーダーラインを越えた。


★永遠を信じてみたくなった

触れられる時間はほんの僅かで、記憶にしか残らない。永遠という言葉の意味すら知らないまま儚い命を繋いできた。
そんな生き方の虚しさに気付いた瞬間、俺の世界は色を変え、願いが生まれた。
…諦めることを、やめてもいいだろうか。


★君がいたから強くなれた

新しい道を切り開く為、今まで歩んできた道に別れを告げる。いつまでもその一歩を踏み出せずにいた私の背中を押したのは、力強い彼の歌だった。
「今日は、HAYATOを応援してくれているみんなに大事なお話があります」
―――さあ、これが最後のステージだ。

(アニメ設定で、ST☆RISHのライブにてHAYATO引退を表明するトキヤ)


★うでまくら

「何が悲しくてあなたに腕枕されなくちゃいけないんですか」
「枕が無いと寝れねえっつったのはそっちだろ」
「だからといってこんな固い枕がありますか、こ・ん・な!」
「文句あんなら別な所で寝ろよ」
「お断りします。あなたの隣が一番落ち着くんです」
「…最初からそう言え」

(堂々とデレる一ノ瀬さん)


[ index > home > menu ]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -