星の遺言
硝子玉のような透き通った瞳から、限りなく透明な雫がぽろぽろと静かに零れ落ちていく。こんなにも綺麗に泣ける人間がいるのか。
お前の涙の原因は俺にあるのだと知った時、込み上げてきたのは懺悔でも後悔でもなく微かな喜びだった。
それが他の誰でもなく俺のための涙であることが、何よりも嬉しいと思ってしまった。
俺は俺自身のために生まれてきたわけではなく、消えていく理由もまた俺自身のためではない。分かっていながらも決して許されない思いを抱いた。
今だけでいい。明日には忘れていい。
お前のその涙を、俺だけのものにさせてほしい。俺だけのために泣いてくれ。
消えゆく星が最期に願うのは、たったひとつの我が儘だった。