[> とあるカフェテリアでの話 |
「バレンタインデー?」 誘われるがまま(ほぼ強制的)に百合男とショッピングをして休憩がてらにその辺にあったカフェテリアに入り込んだ。両手いっぱいのショッピング袋を持った百合男が席に着くなりその重そうな荷物を置いた。あー重かったーというので思わず二世は苦笑いをした。 袋の中は大量の洋服。どれも個性的で変形型やレースやフリルの付いたもの、色も白やら赤やら緑やら様々。試着室でファンションショーの如く着替えては見せつけてくる百合男に呆然としていたが、きっと百合男だから似合うのだろうと一人で納得していた。 カフェに着くなり、コーヒー(百合男はココア)を頼むと漸く落ち着き お互いのサクリファイスについて、LOVELESSについて話していた。どこで話が脱線したのかわからないが冒頭の話になった。 「そ。知らないわけでもないだろ?」 「まぁ…。でもそんなの俺に無縁なんだけど」 「もっとイベント事に興味持とうよ!」 (そんなこと言われても…。十数年生きてるけど、全く気にしたことなどなかったかも。) 「えーっと正月、バレンタイン、ハロウィン、クリスマス…(以下略)その他色々!楽しいこといっぱいあるのだよ!」 (百合くん凄い目キラキラしてる。てかそんなにあったのか…) 「それで、そのバレンタインデーがどうしたの」 「うわ、興味無さそう!…まぁいいや。 そのバレンタインで自分のサクリファイスにサプライズプレゼントをしようってこと!」 「…なんでまた」 「百合様は聞いたことがあるぞ!バレンタインデーは好きな人にプレゼントをする日だとね!」 「いや、そういう日でしょ」 「でもお世話になったという身近な人への感謝の気持ちを込めてプレゼントするという習慣もあるみたいなんだぞー」 「へぇ」 「だから青柳清明に、と」 「清明は立夏しか興味無いよ」 突然清明の名を出され少し動揺した二世。 すぐに冷静を装い立夏の名を出す。 「でも好きなんでしょ」 「なっ、清明はそういうわけじゃないし…。 ていうか、渡したところで清明は受け取らないよ」 「そんなの百合様は毎年英雄に渡して毎年捨てられてるぞ!」 それもどうなんだろうか…と二世が苦笑いしていると百合男が続けて話す。 「今は受け取ってもらえなくてもいつかは受け取って貰えるかもしれないって思うんだ。だから百合様はあげ続ける!」 カップに口をつけ一口ココアを飲むと少し頬を赤めてニコッと笑った百合男が健気過ぎて二世は目を逸らした。 「あ。じゃあ我妻草灯は?」 「は!?」 何故そこでその名前が出てくるのだと物凄い嫌な顔で二世が百合男を見る。 「LOVELESSの戦闘機でもあるけど、一応まだBELOVEDの戦闘機なんでしょ? なら敵に塩を送る、的な?」 「百合くん、全くワケがわからないんだけど」 「アレ?気になってるんじゃないの?」 「いつそんなこと言った!」 「そーなのか?二世が何かと我妻草灯のこと話すからてっきり、うっかり。」 二世は自覚が無いようだけど、骨を折られてからというもの 何があったのか分からないがやたらと草灯の名を出しては苛ついていた。あまり感情を表に出そうとしない二世がそこまで反応するのだ。だから百合男の中では意中の人ということになっていた。嫌よ嫌よも好きの内、じゃないけどそんな感じ。 「そんなワケないでしょ…」 カップに口をつけひと口飲むと、包帯を巻いた痛々しい右中指を見つめた。 「(アイツもりっちゃんもほんとバカでむかつく)」 でも確かに言われるまでは気付かなかったが 我妻草灯のことを考えてることは多い気がした。嫌だったから首を横に振って忘れた。 「百合様名案だとは思ったんだけどな〜」 「大体アイツが受け取るわけ無いよ」 「あ。そっか」 「(百合くんって勘は鋭いのにやっぱりちょっと抜けてるよね)」 もうひと口コーヒーを飲んでふと窓を見たら遠くで英雄がイライラしつつ笑顔振りまいてこっちを見ていたから 百合くんお迎え来てるよって言うと百合くんも窓を見て喜んでいた。 英雄を待たせると後が面倒かと思って手早く会計を済ますとカフェを後にした。 (その後) 「二世、楽しかったからまた買い物付き合えよ!」 「それが頼む人の態度ですか(殴り)」 「痛!」 「大丈夫です、俺も楽しかったんで」 「ほらー!」 「すみません、よく躾けておきます」 「英雄聞けよ!」 「(仲良いなー)」 −−−−−−−−−−−−−−−−−− ずっと残ってた未完成品を今更up 二世と百合くんは仲良しそう! 多分続かない |