[> 寒空の下で約束を






薄暗闇の空に白いキラキラしたものが降ってきた。手を伸ばして手の中に落ちたと思ったそれは一瞬にして消えてしまった。不思議なってもう一度同じことを繰り返したが やはりそれは消えてしまう。隣にいた劉黒にこれは何なんだと聞くと空を見上げた。

「これは雪というものだ。」

「ゆき…?」

「ああ、私の能力でもある氷の結晶のことだ」

「じゃあ劉黒が降らしてるのか?」

首を傾げてそう聞くと劉黒は笑って 出来なくもないが、私ではないぞと言った。
雨が降ると同じことで自然現象らしい。

「なんか綺麗だな」

求めるように 空へと手を伸ばす。
ほんの少し冷たい感覚が手に伝わってくる。
途端、後ろからきつく抱き締められた。
今は二人しかいないからすぐにそれが劉黒であると気づく。どうした、と尋ねたが返事はなかった。ただきつく抱き締めるだけ。

それからひらひら落ちてくる雪を手に触れながら眺めていたらやっと劉黒が口を開いた。

「お前が雪に似ているから、いつかこの暗闇の中に消えてしまうのではないかと思った」

くるりと対面し 黒い手袋をした劉黒の手を俺の手で包み込み、深紅の瞳が揺れていたから安心させるように笑ってやった。

「俺は消えない。劉黒がいる限り永久にお前と一緒だ」

だからお前も俺の側から消えるなよ?




寒空の下で約束を

そしたら彼が返答するように優しく口付けてくれた。







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