[> I just can't stop loving you







本を読む焔緋は先程から真剣で文字から目を離さない。勝手にノックもせず上がり込んだのに無言で本を読み続ける。

「……」
近づき側に座って見つめてみる。
反応ナシ。
目の前で手をひらひら振ってみる。
反応ナシ。
赤い髪をいじってみる。
反応ナシ。
手に触れてみる。
ページを捲った。
それから色々試してみたけど、結局無言で本を読み進めるだけで視線すら此方に向かなかった。

ダメだなこりゃ。
諦めてもたれ掛かって項垂れてみる。
先程からあらゆることを試しているのにも関わらず、声だけは掛けなかった。邪魔になるだろうし(既に邪魔はしているが…)それに、なんとなく声掛けるのが気恥ずかしかった。
いつもはすぐに構ってくれるのに…。
そう思ったときに焔緋の手が俺の頭を優しく撫でた。

「猫は、普段は素っ気無いようだが気紛れに甘えてくることがあるようだな。」

「は?」

突然語り出してワケがわからず素っ頓狂な声を上げて焔緋をみた。

「気高く、それ故口では伝えれないようだが行動で示すようだ」

「焔緋、何言って…」

「白銀は猫のようだな」

柔らかく笑う焔緋、俺の好きな顔。
それから 少し意地悪をしてすまない、と
俺の額に優しく口付けた。

先程までの自分の行動が少し恥ずかしくなって頬に熱を集めて小声で呟いた。

「…ばーか」

そして腹癒せにきつく抱きついた。

I just can't stop loving you
悪戯に君は本を読み続ける。
それでも後から大好きな顔で謝る君に
私は愛すことをやめられない。







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