君へ夢幻の感情を、 | ナノ


◎混濁する蒼空への途

リーフィアへ

返事ありがとう。じゃあこれからは敬語無しで。名前の件はOK。だけど普通に伝えたらつまらないから当ててみて。ヒントは…緑。それでも見つけられなかったら白。それじゃあ頑張ってね。プロフィール、下に書いときます。

ピカチュウ

ps.敬語無しの申し出ありがと。助かった




返事が来たのはあれから2週間後のことだった。今回が遅かった理由はきっと名前の件だろう。いや、そうに決まっている。


でもピカチュウさんには驚かされた。まさか、名前を当ててみろと言い出すとは思わなかったからだ。この広い世界のなかで特定の一人の名を探すなんて雲を掴むような話。いくらヒントをくれたとしても非常に難しい話だ。

だが、ピカチュウさんの名前はとても気になる。是が非でも当てたい。そうなるとピカチュウさんのヒントをもとに自分で当ててみるしかない。…どうしたもんか。



「カノンー!ご飯ー!」

「あっはーい!!」

母からの声か聞こえ、開きっぱの状態だった交換日記のノートを閉じる。返事を書くのはまた後日にしよう。

しかしあのヒントの緑や白とはいったい何なのだろう。ただ単純に色なのか、それともなにかの隠語なのか。…駄目だ。欠片も推測できない。


とりあえず下に降りてご飯を食べてこようか。





スタンドライトの下、交換日記のノートの上でボールペンを滞空させる。さて、何を書こうか。折角ヒントをくれたのだから、そのヒントの意味を聞くなんて野暮なことは出来ない。

うーむ。ヒントの件は友達エリカちゃんとかに聞くとして…そうだ、私の名前も当ててもらおうか。…でも、ヒントってなんだ?

…まあ、ヒントはともあれどうせだし私のも当ててもらおう。うん。そっちのほうが面白そうだ。


てかピカチュウさんのプロフィールが凄い。何がとは言わないが、とにかく凄い。身長高いし、字は…あれだけど、イケメンに相違ないだろう。でも住所が白と銀なのが不思議だ。



その日、私の胸の中には彼からの返事の内容を想像した為かドキドキかワクワクか、どちらともつかない感情が渦巻いていた。


―――少しずつ近付く距離と感情は、何だか昔無くした初恋に似ていた気がした



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