嘘つきのハッピーエンド

「リリアっ!!!!」




私を呼ぶ声が聞こえた。


とても大きく、力強く、心に響くあの声。


いつでも必要とされていたあの声。


それは先程まで、聞いていたものと全く同じで


泣きたくなるくらい透き通っていて


「リリアっっ!!!!」


彼がここにいるわけがない。


彼がここにいてはいけない。


それでも気になった私は閉じた目をゆっくりと開けた。


その視界の先には理想のポケモン、ゼクロムとその上に乗り、手を伸ばすトウヤくんの姿があった。


「リリアっ!!手ぇ伸ばせっ!!」


そう叫ぶトウヤくんはとても必死で、泣きそうな顔だった。


その手をつかんではいけないのに


彼に甘えてはいけないのに


「…っ」


自然に伸びていく手が


非常に馬鹿らしくて



でも、私は、






















「馬鹿リリアっっ!!!!」

「…うん」

「アホリリアっっ!!!!」

「…うん」

「…なんで、あんなことするんだよ」

「…ごめんね」

「…ばーか」

「…うん」

「…カノコに、帰ろう」

「…うん」

「今日はさ…月が綺麗だから、だから一緒に」









手でも繋いで、帰ろうか






















幸せな終わりは、月の綺麗な晩に。

        (2013/03/20)