君の背負う罰は、僕の罪だから。
ごめんね、と彼女は言った。ホドモエのポケモンセンターのとある一室で。相部屋を頼まれたらしく、僕にだけ名前を伝えられなかったことに対しての謝罪だと思った。いや、思っていた。
その日の夜、相部屋を頼んできた女性が寝て、静まり返った真っ暗な部屋に閃光が放たれた。僕の、モンスターボールのものだった。
限られた物しかなく、意外と狭い、その部屋。その中で僕を出した彼女は、ベットに潜りこみながら微かに涙が滲んだその目で、こちらを見ながら再びごめんね、と呟いた。
…なんとなくだけど、彼女が謝る理由が分かった気がする。だって、いつだって君の腕と温もりに包まれながら君自身の心の声を聞いてきたのだから。
大丈夫、もう君と共に背負う覚悟は出来ているよ。
「遅くなっちゃったけど、あなたに名前をあげるね。実はあなたの名前決めかねてたの…っていうか、本当は決まってたんだけどずっとずっと考えてたの。私とあいつの罪をあなたに持たせちゃっていいのかなって。…でもね、最近ね、ちょっとだけ重くなってきちゃったの。だから、少しだけ、手伝ってもらってもいいかな?」
もちろん。だって僕はそのために"あの人"から君のもとへ来たんだから。
それに、君のその重みは僕が作ってしまったようなものなんだから。
だから僕の名前、それはきっと君とあの子の罪の証。
「本当に、ごめんね。…あなたの名前は業。私とあいつの罪の象徴。私が背負わなければならないとても重い枷。ここへ逃げた私を繋ぎとめるもの」
だから分けるね。
私とあいつの"ひび"であるあなたに。
私の"生"であり、"死"であるあなたに。
たった一人の家族である、あなたに。
「あなたの名前は…」
――――――――――――カルマ。