あの人に淡い思いを抱いたのかもしれない。
不思議な人に会った。
その人は欲というものを知らなくて、
その人は不可能という言葉を知らなくて、
その人は何よりも僕たちのことを知らなかった。
透き通った橙の瞳で、焔を繰り出す彼女は
普通の人よりも輝いて見えた。
彼女は自分のポケモンで僕らを助け、
なにも望まず、
友達になって欲しいとだけいい帰っていった。
彼女の容姿は飛び抜けていいとはいえない
彼女の声は飛び抜けて美しいとはいえない
彼女の心は飛び抜けて綺麗だとはいえない
だって僕たちはまだ
彼女のことをこれっぽっちも知らないからだ
それは僕たちだけではなく
彼女も同じだった。
いつでもポケドルとして見られる
いつでも芸能人として見られる
いつでも僕自身を見てくれない
そんな世界に飽きて始めていたのかもしれない
だからこんなに
彼女が眩しく見えたのかもしれない。
もしかしたら、という希望が
僕らの中で目覚めた瞬間だった。
真っ白のパレットになら
こんな僕らでも
新しい生が描けるような気がした。
だから、僕は