ベルちゃんと遊園地に行ってはや2週間が経とうとしていた。いやあ楽しいことが過ぎるのは早いもんだねぇ、なんてしみじみする間もなく私はアララギ博士の研究の手伝いに回されていた。

あのあと、観覧車付近に集まっていたマスコミらに生放送され、私はちょっとした有名人になった。…なんていえればかっこいいものだが、テレビや雑誌などで謎の少女あらわる!!だとかポケドルの危機に勇敢な少女が立ち上がっただとかあることないことが沢山書かれた。もう少女っていう歳なのかなんていうのは置いといて、正直いって迷惑だった。

手伝いでいった先のフキヨセではサインを求められ、またまた手伝いでいったソウリュウでは写真を撮られ散々だった。その好意自体は嬉しいのだが、ずっとやられていると疲れるのだ。最近は収まって来たので嬉しいことこのうえない。

でもそんなことでよりも観覧車に乗っていたテンマくんとルッコちゃんが本当に芸能人だったことに驚きだ。なんてスゴい人と友達宣言を交わしてしまったのだろう。でも本人たちに聞けば問題ないと言ってくれたので良かったが。



そんなこれまでのことを考えながらぼけらぁとベッドで体育座りをする。ぬくぬくで眠くなってくる。なんだか最近はいろいろなことが一気に訪れた気がする。まだ、何かあるのかもしれない。それは楽しみな気もするし同時に不安な気もした。


「パスカー!!ご飯出来たからおいでー!!」

「はーい!!」


アララギ博士の声が聞こえたので急いで布団を直し、部屋をでる。勿論ジュペッタとシャンデラ、そしてもう1つのボールも持って。


もう1つのボールというのは観覧車凍結事件(勝手に名前をつけてみた)のときにヒカリちゃんからお礼を称しもらったものだ。中に入っているポケモンはユキワラシのめすだった。

ゴーストタイプじゃないポケモンは初めてかもなんて思っていたら、ユキワラシはめすだとめざめいしを使うとユキメノコに進化する、なんていう話をきいた。それもアララギ博士から。どうせならユキメノコにしちゃいなよ!!てなことでもらっためざめいしは今も部屋に飾りっぱなしだ。



アララギ博士がいる部屋につく。遅れましたといえばおっそーい!!と私より若く明るい声で返したアララギ博士の精神年齢は低いと思う。何で朝からテンション高いのだろう。まあ聞いたところで無駄だろうが。

「ほら、冷めちゃうから早く食べな!!」

「はーい」

席につく。机の上には焼かれたパンとベーコンエッグ、それにコーヒーが置いてあった。パンに手を伸ばし口へ運ぶ。今日のジャムは林檎のようだ。

「あ、そういえばパスカに頼みたいことがあるんだけど!」

「え」

なんだかとてつもなく嫌な予感がする。てか絶対断れない頼みならもう仕事と言ってくれ。

半ば諦め今度は何処にとばされるのかなぁなど考えている私にアララギ博士はそう身構えなくてもいいのに!といってきた。身構えた気はなかったんだけどな。

「ちょっとホドモエまで行って欲しいのよ!」

「えー、なんで出掛けなきゃならないんですかー?面倒くさい」

「そういうこと言わないの!動かないと太るわよ?」

「ちゃんと運動してますよ」

「だからおねがい!!」

「…拒否権は」

「あると思う?」

「…ですよねー」

なんだかこんな会話最近した気がする。てか絶対したわ。たぶんあの観覧車の事件があった日だと思う。あれ、ここまでちゃんと覚えてる私って若い?若いよね?てか若くないと困る。まだぴっちぴちの18なんだからね!

「で、内容は」

「これを届けて欲しいのよ!」

そういって渡されたのは小さな茶封筒たった。中身を問えば手紙だという。

「何故に手紙を?それならフキヨセの方がいいんじゃないですか?」

「実はこの手紙、カントーまで運んでもらわなきゃならないのよ。で!ちょうどイッシュに来ている知人の知人に運んで貰おうかなぁって思って!」

「はぁ…」

つまり郵送代をけちったという訳か。研究で結構稼いでいると思ってたのにそこはけちるのか。そんな文句を言っていても始まらないので仕方がなく了解する。

「で、その人の名前は?」

「ナナミっていう女の子よ!オーキド博士のおまごさんなの!知ってる?」

「そりゃしってますよ!!小さい頃、お世話になりましたもん!!」

ナナミお姉ちゃんかぁ…懐かしいな。今はおじいちゃんのお手伝いもしてるんだ。絶対美人になってるよ。うわあ会いたい。喜んで仕事しにいくわこれ。

「いつ行けばいいんですか?」

「今日か明日にはホドモエに来るって言ってたから…今日!」

「マジすか…」

あ、バスラオのほうもよろしく!なんて当たり前に言いのけた彼女はきっと鬼だ。一日中仕事をしろと言うことだなこれは。まあナナミお姉ちゃんに会えるなら我慢することにしよう。

「あ、そうだ」

「ん?どうしたの?」

「博士はポケモンたちに名前ってつけてます?」

「もちろん!」

私と一緒に戦ってくれる子たちにはつけてるわよ!なんていったアララギ博士。やっぱりつけていなかった私がおかしかったのか…。

ポシェットの準備をし、中にモンスターボールだけでなく少しのお金と封筒をつめた。

「飛行ポケモンは」

「ちゃんと準備してるわよ!ほら」

「ありがとうございます。じゃあいってきまーす」

「いってらっしゃい!!帰りには気を付けてねー」

豪快に手を振りながら意味不明なことを話すアララギ博士を無視し、扉を開けた。何か不思議な感じがしたけどそのまま扉をくぐり抜けた。





扉が閉まる直前、アララギが悲しそうにライブキャスターで電話をするところが見えた。何故、と考えたが理由が全くおもいつかばないので深くは考えなかった。






きっとここで考えていれば、未来は変わっていたはずだった。


回り始めた歯車は止まらないけど

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