「大変です!!ライモン全体でポケモンが原因と思われる地震が発生しました!!」


そんな言葉が駅員から伝えられてからどれくらいたったのだろうか。正確にはシングルトレインにてサブウェイマスターに辿りつく前に負けてしまった乗客の、下らない憂さ晴らしで放った地震らしい。たかがそれだけのために地上で技を放つなんてバカらしいとしか言えない。

地震のとき、珍しく挑戦者が入っていたぼくは気付かなかったが、デスクワークをしていたノボリは気づいたらしい。ぼくが挑戦者とのバトルを終えると、ノボリは休む間もあたえずぼくの襟を掴み、地上までぼくを引きずっていった。

階段を上がる途中、聞いたのは先程の地震で遊園地の観覧車が大変なことになったという話しだった。どうやらぼくが気づかない間に暇だったらでいいから、と遊園地でショーを行っていた関係者から言われていたらしい。

これまためんどくさい仕事をわざわざ受けるなんてなんともノボリらしい。ぼくだったら頼まれても絶対にやらない。だってめんどくさいんだもん。まあ、めんどくさいなんて口に出したらノボリ直々の一時間お説教コースまっしぐらだから言わないけどね。

で、そのまま地上にきてもノボリは僕の襟を掴み引きずったままだったので、コートが汚れると言ったら意外にもあっさり放してくれた。ちょっとびっくり。ノボリの手から解放されてからは横に並んで歩いた。


遊園地まではそこまで離れていないのでけっこう早く着いた。ピカチュウ型の大型バルーンの前を通り、目的の観覧車へと向かう。観覧車の前にはよくここまで集まったな、と言えるほどの量のマスコミがいた。

その僅かな隙間から現場を覗けばそこには中に乗客が一人の女の子が颯爽と立っていた。横にいる彼女の手持ちとおぼしきポケモンは、シャンデラ。…なんだか横にいたノボリのテンションが上がった気がした。顔は真顔のままだったけど。

「で、どうするの?ノボリ」

「…ここは暫く様子を見ましょう。」

あの方がどんな方法でこの場を打開するのか、わたくしは気になって仕方ありません。そうきっぱり告げたノボリはなんだかわくわくしていた。やっぱり顔は真顔のままだったけど。

そんな会話をしている間に、シャンデラを連れていた彼女は下準備を万端にしていた。危険だから下がれ、さもなくば火傷の保証はしないといい放った彼女は楽しそうに口元を緩めていた。きっと本人は気づいてないのだろう。

「じゃあいきまーす!!シャンデラ!!オーバーヒート!!」

辺りは、彼女のシャンデラが放ったオーバーヒートの炎ので包まれた。明るく、ほんのり暖かく、眠りにつきたくなるくらい心地がよい、そんな炎だった。
















「ノボリ。ぼくたち、来なくても大丈夫だったみたいだね」

「それでもいい収穫ができました。」



あの方が挑戦しにきて下さるのがとても楽しみになりましたからね








そう言ったノボリはいつもでは考えられないくらい笑っていた気が、した。
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