こんにちは、こんにちは。
何もない、白い空間。
壁も、床も、ベッドも、足も、着ている服も、すべてが真っ白な空間。
目が覚めると私はそんな部屋に一人でいた。
きっと病院だろう。
無意識に右手を握りしめる。
なぜだろうか、上手く動かない。
そんなに長く寝ていたのか、と我ながら感心してしまうが、それよりも手の中に何もない事が恐かった。
震える体で、ベットが揺れる。
不自然に伸びた髪が不安を煽る。
そんなことはおかまいなしに、私は十分に動かない体を動かし、手の中にあったはずのそれを探す。
ない。ない。何処にもない。
私のモンスターボールが何処にもないのだ。
まさか、崖から落ちたときに無くしてしまったのか。
そんなの、絶対いや。
きっとこの部屋の何処かにあるはず。
そう思い、闇雲に部屋の中を探す。
そのとき、扉がゆっくりと開いたら。
その先に見えたのはお世話になっているなおじいちゃんで
「パスカ!目が覚めたのか!!」
「ぉ…じ、ちゃ…」
声が上手くでない。
やっぱり結構な時間、この部屋で寝ていたのか。
「これ、無理に声を出そうとせんでいい。…痛いところはないか?」
うん。と言う代わりに軽く頷く。
でも今は正直にいって、痛いところなどよりもカゲボウズの入ったモンスターボールの行方を聞きたい。その事を何とかしておじいちゃんに伝えようと、少ししか動かない手を使って伝えてみる。するとおじいちゃんは察しがいい方だったようでおお、そうじゃ!と切り出してきてくれた。
「カゲボウズのモンスターボールじゃ。外側は壊れていたんじゃが、カゲボウズは大丈夫だったぞ!とりあえず直してはおいたが、ひびの線は流石に無理だったのう…」
ねっころがったまま、頑張って首を横にふる。
カゲボウズがいてくれただけで吉報だったし、そこまでしてくれたたけでうれしいのだ。
お礼の代わりといってはなんだがありがとうの気持ちを込めてにっこりと笑ってみた。
それに込められた気持ちに気付いてくれたのか、おじいちゃんもにっこりと笑って、私の頭を優しく撫でてくれた。