「アタシと結婚してちょうだい!」
…彼からこの言葉を聞いたのは何年前だろう。
今の私達には、1人の女の子ができた。
私と彼が出会ったのは美術館だった。
ゲルテナの世界に入る、なんて普通では考えられないことをして、脱出してその時に恋に落ちた。
でも、1人だけ脱出出来なかった女の子がいた。
メアリーという子だった。
彼女はゲルテナの作品で、私達を殺そうとしてでも外の世界に出たかったみたいだった。
焼死してしまったが、彼女はとても綺麗な金髪をもっていた。
その金髪を再び見ることができた。
それは産まれてきた女の子の髪の色だった。
私も彼も金髪ではなかったので心底驚いた。
「ねぇギャリー」
思わず声をかけた。
「どうしたのクラリス」
「あのね、この子の名前…」
「メアリーがいい、でしょ」
彼も同じことを思っていたらしい。
アタシがアンタの思ってること分からないわけないじゃないと自信満々で話すとそれに、と続けた。
「せっかくあの子が来てくれたんだもの。
あんな結末にさせないように、大事に育てましょうね!」
「…うん!」
今日から彼、ギャリーとメアリーと一緒に、新たな人生を歩む。
願うのはこの子が、あんなことにならないように。
命を捨てなくても、願いが叶うように
きっと、どんなことでも
あなたと一緒なら
(いいえ、あなた達と一緒なら)