「ねぇメアリー」
「どうしたの?クラリスお姉ちゃん」
「この部屋、どうしたの?」
私たちが落ちた先は異様に広い部屋だった。そこにはゲルテナの作品が点々と存在していてなんだか怖かった。
「…ここはいいの」
そう言ったメアリーは出口へ向かって一直線に歩いていった。
「ちょっと待ってよメアリー!!」
それを追いかける、私。
走ったからか思ったより早く追い付いた。
そこからは二人とも無言で歩いた。
やがて出口らしきとこからこの部屋を出る。
そこには廊下と階段があって
「…」
「…メアリー。手、また繋ごっか」
彼女が無言な理由が何となく分かった。
だから、手を繋ぐ。
「駄目?」
「…別にいいけど」
これで少しでも彼女の不安を解消できればいいな。そんなことを考えながら、階段を上る。
一段上るごとに震えるその手は、歳相応の女の子の手だった。
登りきった私たちは小さな部屋に辿り着いた。
メアリーは私から手を放し、1つの扉に手をかけた。
「この先に、いる」
「…大丈夫?メアリー」
「…クラリス、お姉ちゃん。」
「…一緒に行こうか!」
「…うん!!」
不安ながらも私に笑顔を向けてくれたメアリー。私はきっとこの子を守らなきゃいけない。
「じゃあ、開けるよ」
「うん。」
せーの!で二人で扉を開ける。
その先には
「メ、アリー?」
「なんで、クラリスも…?」
あの二人がいて、
「イヴ。…ひさしぶり」
きっとその彼女の一言は、小さな勇気の始まり。