何度も振り返るイヴちゃんと、それを諭すように進むギャリーさんの後ろ姿を無言で見送った。

こうなることは分かっていた。なんとなくだったけど

いつぞやイヴちゃん宅でイヴちゃんとギャリーさんが再会したときも、私は一人で蚊帳の外。

だって私だけ、ゲルテナ展に行ってないんだもん。

…でもさ、こういうのって分かっていても


"辛いの?"

「うん…ってうわっ!!」

さりげに聞かれて特に何も意識せず返答してしまった。

いったい誰が…なんて思うこともなく、私は絵の正面につく。

「…久しぶりだね、メアリー。どうかしたの」


"…お礼を言わなきゃと思って"


「ん、気にしなくてよかったのに」


"そういう訳にもいかないでしょ…じゃなくて、お姉ちゃんは一緒にいかないの?"

「痛いとこつくなぁ…。だっていけないんだもん。お留守しなきゃね、約束したし」

"…一緒に行きたい?"

「そりゃ行きたくないっていったら嘘になるけどさ、メアリーは<二人>に会わなきゃ」

別に私は行ってもあまり意味がないのだ。
誰も私と会いたいなんて人は待ってないしね

"私はお姉ちゃんが来てくれても嬉しいんだけどなぁ"

「なんかあるの?」

"だって、私の大事な友達の友達だもん!お姉ちゃんとも私は友達でしょ?"

…唖然。
メアリーが友達、…か。

うん。

「悪くないかも」

"でしょ?だったらイヴ達を追いかけて"

そう言いながらメアリーは後ろを向いた。
絵の中でも後ろ向けるんだね。ちょっとビックリだわ

よし、じゃあイヴちゃん達を追いかけますか!

「…んで、どうやっていけばいいの?」

"なんだか凄く今更ね"

こちらを振り返りながら呆れたような声で言われた。顔もだったけどね!

「気にしない気にしない!で、どうすればいいの?」

そう再度問えば、メアリーは私の後ろの扉を指差した。

"そこから行けるようにしておいたよ"

「マジか。…うん、ありがとねメアリー」

"……待ってるからね!"

「うん、ちゃんと行くからさ!友達との約束でしょ?」

"うん!"

じゃあ、いってくるね!とメアリーに背を向け、扉に手をかけた。

キィ、と軋む音が響く。




"あ、いい忘れてた"



この向こうに、みんながいるんだ。



"薔薇、しっかりもっててね!じゃないと…"



さあ、勢いよく扉をくぐってみんなの元へ…!




"死んじゃうからね!"




…そこにはたくさんの絵が飾られた部屋が

「………え」

素敵なマネキンとお姉さんがこちらを一斉に向いて

「うわぁぁぁぁぁあ!!!!」

"じゃあ頑張ってねー"

なんていうメアリーの声とともに扉はかたく閉ざされた。

うん。なんていうか…ね

「…これって死亡フラグじゃね?」






…素敵な美術館へれっつらごー!

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -