彫像にでもなっててくれよ、もう…2 | ナノ

フリオニールはそこで再び彼の顔へと視線を戻す。
水の照り返しが眩しいのか、僅かに伏せた目の直ぐ上に、水を吸った青銀色の髪が垂れ、水滴が鍛え上げられて隆起した胸へ落ちていた。
喉の下、首の筋の終わりから、両の胸の筋肉を分ける浅い谷が下へ伸び、直ぐに両側へ分かれて…一旦消え、乳首の下で再び胸筋を支える浅い谷が現れ、脇へと消えてゆく。
胸の下中央から、今度はやや浅い谷が肋骨の終わりまで緩く山を描いて左右の筋肉を分け…分かたれた、膨れた筋肉が腹に陰影をつくっていた。
浅い谷は肋骨の終わりから臍にかけて今度はなだらかな谷を描いており、やはり両に分かたれた筋肉は膨れ、腹に完成された、完璧な肉体の陰影をつくる。
浅い谷は臍を経ると、腰に差し掛かる部位で消え、同じく隆起した筋肉も、美しく、しかし決して女性には無い斜線を描いて腰に消えた
脇から下へ伸びる身体の線は、やはり肋骨を支える為か、一度筋肉できつく膨れている。
が、肋骨の終わり辺りから急な斜線を描いて、決して華奢ではないのだが、この体躯にしては細いと思える腰で一旦纏められていた。
身体の横、臍と同じ高さから、腰骨がくびれた腰を形作り、細いと感じる腰を更に細く見せている。
その腰骨の角ばった線より直ぐ下から、足の付け根を表わす線が、華美と思える程に完成された太腿を作る筋肉の膨らみで谷を作り、きつい斜線で内側の足の付け根へと続いていた。
臍から下は、やはり鍛えられているのが解る肉の付き方はしていたが、そこだけは弱点と解る柔らかな線を描いて、足の付け根の谷と同じく、内側の足の付け根へと流れていった。
その途中から、髪と同じく青銀色をした毛並みが現れ出して、内側の足の付け根へと向かう線を隠す。
代わりに見えた男根は、身体では唯一鍛えようのない部位だったが、それを全く苦にしておらず、体躯に見合う大きさと形状を誇って逞しい線を見せていた。
それが柔らかな袋に支えられ、その下から恐ろしく力強い筋を見せる太く長い内腿の線が姿を現す。
無駄のない足の線は1度きつく膨れ…膝のやや上辺りで収束するとそのまま膝へと向かい、膝近くで再び収束して…その下は水中に消えていた。
フリオニールの視線に気付いていないのか、問題と感じていないのか。
ウォーリアの挙動に揺るぎはない。
フリオニールは感嘆か嫉妬か解らない溜息を吐いて視線を手元に落とし、鎧に付き乾いて固まってしまった血糊を、水で溶かして落とそうと擦った。
ふと。
泉の向こう側の茂みが音を立てて揺れた。
フリオニールがさっと顔を上げると同時に、ウォーリアも素早くそちらへ身体を向けた。
敵意も何も全く感じないので、恐らく小型の獣だろう。
フリオニールは、顔はそちらへ向けたまま、しかし警戒は早々に解いた。
ウォーリアからも、時を同じくして、警戒の気配が急激に薄れて行く。
…普段はマントに隠されてあまり意識はしていなかったが、ずいぶん広い背を持っていたのだと思う。
泉の向こうを見るその視界の中に入っているウォーリアの背を見止めて、フリオニールは瞬きをした。
首筋は濡れた青銀色の髪が絡んで見えなかったが、筋肉が描く肩の稜線は後ろからでもはっきりと見えた。
肩甲骨の直ぐ上あたりが、一度僅かに落ち窪み、肩甲骨で山になって、そのまま重い剣や盾を持つ腕を支えるに相応しい筋肉の線を形造りながら脇へと消えてゆく。
首の直ぐ下辺りから表れ出した、背骨の上を通る谷の線は、肩甲骨辺りから顕著になり、肋骨の終わり辺りから深い谷となって、筋肉を身体の左右へ分けていた。
錯覚なのだろうが、細く見える腰を、やはり腰の直ぐ下にある腰骨の強い線が強調しており、その辺りから尻の肉が現れ出して、身体の外の線から背の中心を通る谷にかけて、左右で二つ、山を描いていた。
背の中心を通って来た谷は、身体の外側から描かれてきた、尻を形作るその山の様な線と合流する辺りの僅かな部位でだけ消え…その下は両の尻を分ける深い谷となって下へと続き、足の内側の付け根よりも若干上のところで前面に回るように消えている。
尻のその膨らみは、柔らかいのか固いのか見た目だけでは判別が付かない。
だが、尻と太腿を分ける尻の終わりのその谷線はとても浅く…尻の山の頂が上の方にあるということから、やはりその部位も、足と共に戦闘時の移動を司る部位として、余念なく鍛え上げられているのだろう。
その直下から筋肉で盛り上がった逞しい太腿は、太腿の両外側から内へ向かう2本の筋を浮かび上がらせながら、やはり膝のやや上で収束を見せ…。
そのまま膝に向かうと、やはり膝で再び収束していた。
内側に向かっていた2本の筋は、1度目の収束部位で、今度は膝の両外側に向かう線へと変わって膝裏の両端で消えてゆく。
片方の太腿の傍に、垂らしたままの手があって。
前面からでは見えなかった掌は、やはり指の長さに相応しく大きく、ふと見ただけで剣を持つ人のそれと解る硬い皮膚をしていた。
…こんな体躯を持つ人だ。
今は水中に消えている膝下の足も、想像が容易というもの。
あらためて、全身を注視する。
もう行動に支障は無い様子ではあったが、まだ若干、出血が水に滲んでいる部分をいくつか見つけることができた。
「フリオニール」
突然、声を掛けられて。
フリオニールの肩が跳ねた。
気付けば、ウォーリアはもうこちらを向いていて。
「どうした?」
注視を責める口調でもなく、ただ単に他愛ない疑問を訊く口調で問うてきた。
「傷はもう本当に大したことはないのだが…そんなに気になる程出血をしている傷があるだろうか」
「あ…」
どうやら、最後の注視でフリオニールの視線に気付いたらしい。
このまま肯定してしまえばそれで話は済んだのだが、何となくごまかすのも申し訳ないような気がして、フリオニールは思い切りの苦笑を浮かべた。
「いえ…。貴方に比べると、俺は随分少年少年した身体なんだなぁと思って」
戦士として恥ずべき身体ではない…とは自負している。
だが、こうも完成された立派な体躯を、微塵の恥じらいも惜しげもなく目の前で披露されてしまえば、自信など無くなるというもの。
そもそもが、自分の身体はまだ戦士としての完成をすら見ていないのだ。
無駄は無いだろう。
が、まだ発達の余地が多分に有る。
そういう意味で、まだ彼に比べれば子供っぽい身体の造りをしていると思う。
彼に勝てる部位など…精々が身長くらいだろう。
ウォーリアは僅かに首を傾けた。
「人と比べなくても良いだろう」
「比べてしまいますよ、どうしても」
特にそんな風に、恥じらいもなく目の前で誇られてしまっては、と、若干の嫉妬を交えて苦笑に乗せ、言う。
「そういうものだろうか」
「そうですよ」
「ふむ…」
僅かに考える風を見せながら、ウォーリアはフリオニールの方へと近付き…直ぐ隣の岸へと上がった。
そのまま、置いてある替えの衣服の方、フリオニールの後方へ歩いてゆく。
フリオニールは苦笑をそのままに、再び手元に視線を戻した。
「…だがまぁ…確かに」
ふと。
後ろからそんな声が聞こえたので、鎧を洗う手を休めて後ろを振り返る。
ウォーリアが、身体を拭う布を地面から掬い上げていた。
膝から下はやはり想像に違わず、脹脛は硬く膨れて足首に向かい急速に締められ、この体躯を支えるに相応しい力強い筋と線を持つ大きな足甲へと続いている。
布を掬いあげたウォーリアは、隆起した逞しい裸身のまま背筋を伸ばし、こちらを見て来た。
「仲間に晒しても恥ずべき身体ではない、と自負はしている」
「え…あ…」
「鎧をありがとう、フリオニール」
「…い、え!…」
…自慢…だろうか。
彼にしては珍しい。
彼の蒼い目が笑うように細められ、フリオニールは頭の先から爪先まで真っ赤になった。



妹に、ウォーリアさんの裸体小説を書け! との無茶振りを受けたので、セシル裸体小説書いてくれたら書いたる! と無茶振り返しをしたら、本当に書いてくれやがりましたので書きました。
勝負は自分が勝ちました。
ふっ…。

本当はもっと書きこみたかったのですが、あまりに説明描写が長いと目が滑るので自重しました。
…今だって結構目の滑る文だと思う…。

…しかしこれ資料見ながらでないと書けなかったので、PCで書いていたのですが…。
いくつも窓開いて、その全てが全て男性ヌード写真とかビリー・へリントンとか男性裸体彫刻とかだったのですよ。
…。
壮絶なPC画面です。親にはとても見せられない。
書いたぞ妹よ! 約束は果たした!

最後に。
…ダビデ像って、本当に美しいと思う…。


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