手痛い | ナノ



頂点に君臨する者には、それに付き従い、敬い、仕え守護する者が要る。
「…それで?」
例えば仮にその主君が、仕える誰よりも強大な力を得ていたとしても、だ。
敬い仕える者が在る、というだけで、民の君主を見るその目…民が君主に抱く感情というものは変わってくる。
仕える者が優秀で、且その度量を、民が周知であるなら、尚更、その影響力は計り知れない。
「…だから?」
私に仕えよ。
「断る」
私は誉めているのだ。
お前達の力量や器を。
「セシル、戻るぞ」
「ええ」
私の誘いに背を向けるか。
「悪いが、私が仕えているものも、彼が仕えているものも、お前が取って替われる存在ではない」
ほぉう。この私では足りぬか。
「何を分かり切ったことを…」
「お前は所詮人間だろう」
…。
まさか、返す言葉を失うという屈辱を味わうことになるとは、思っていなかった。
人の限界。
人間の、限界。


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